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挿絵119 カニス族 23話


「へぇーー、俺が会ったやつはヘルメット外した時にモジャモジャでびっくりしたもんなー」

{ それは手入れを怠った個体でしょうね。カニス族について勉強なさいますか? }

「おぉ、この際勉強するか」

{ カニス族の母星はティグリウス・リング星系のルーナディアがもっとも有名です }

「ルーナディア、初めて聞くな」

{ 彼らの最も特徴的な点は、その豊かで多様な毛並みで、この美しい毛並みが広く人気を博しています。彼らの社会では、毛並みの手入れは単なる美容ではなく、社会的地位や個体の健康状態を象徴する重要な文化的行為です }

「へぇ~、毛むくじゃらはどうなんだ?」

{ それも後で触れますよ。カニス族はもともと過酷な環境の星で進化しました。厳しい自然環境によって、厚い毛皮は保温や保護の役割を果たしていました。しかし彼らの科学技術が進化し、宇宙船で長期間にわたる航海が可能になるにつれて、彼らの生活様式も変わり始めたのです }

「なるほど。宇宙あるある。異星人の進化」

{ 宇宙での長い航海生活では、毛並みの手入れが困難になることがあります。航海の中でリソースが限られるため、毛の手入れを怠る個体も現れ、その結果毛がじゃもじゃになることも少なくありません。このような状態は、一部のカニス族にとっては屈辱的である一方で、別の個体には新たな美の形として受け入れられています }

「そういうのが好みって奴もいるんだなぁ! 船が毛だらけになるのは嫌だな、毛繕いはどうしてんだ?」

{ カニス族の船内での生活は、彼らの社会構造にも影響を与えています。毛並みの手入れを行う専門職『グルーミング師』が存在し、これは高い尊敬と社会的地位を伴う職業なのです。宇宙ステーションの専門店に定期的に訪れるカニス族はよく目にしますよね }

「すげぇな! 俺らで言うところの散髪感覚なのか? もちろんグルーミングとトリマーもすると」

{ そうなります。船内では自身で行える簡易的な毛繕いツールを用いて処置を行うようですが、専門職の施術には程遠いとのことです。グルーミング専門店の格付けを行うようなサイトもあるようですよ }

「そこらへんは俺らと変わらねえんだな。人気店に通うのも大変だろう」

{ 社会的地位のためならば遠くても訪れるのでしょうね。また、彼らの航海の歴史や文化は、様々な星系との交流を通じて豊かになっています。他の文明との接触は、カニス族の毛並みの手入れ技術や美学に新しいスタイルや製品をもたらしており、それがまた新たな社会的・文化的な動きを生み出しているんですよ }

「美容はどこも需要があるんだなぁ……」

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https://kakuyomu.jp/works/16817330663601054832/episodes/16817330664693793957

4件のコメント

  • こんにちは。

    カニス族のお嬢さん、美しい……。
    手入れを怠り、自由にもふもふしてる後ろの御仁。これはこれで、可愛いですね。
  • お嬢さん、美しい、嬉しいお言葉です。
    後ろの彼はがさつなのか、どうなんでしょうね。
    泡ラクモさんに通ずるものがありますね!
  • 確かに船内生活は大変そう。
    水消費量と抜け毛!
    種族ごとの文化が興味深いです。
  • 恐らく大変そうですが、広大な宇宙に進出できていることを考えると、入念な対策や専用装置も普及しているのかもしれませんね。

    水に関してはろ過しての凝縮水、問題はあまりないように思えます。
    換毛期があるのかは、私は知りませんが大変な印象がありますね。
    しかし案外ウンチと一緒で簡単に処理されるのかもしれませんよ!
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