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激推し坊主

今日は、拙僧の激推し坊主をご紹介いたします。

※※
幼名勢至丸は、本来由緒正しい武家の生まれでした。
彼がまだ九歳のとき、夜討ちに遭った父が深傷を負い、そのまま看取ることとなります。父は、臨終の枕辺で、我が子勢至丸にこう遺言を残しました。

——無念を晴らそうとして、彼(敵方)を恨んではならない。一度始めた仇討ちは、代々続いて尽きることがないのだから。いっそのこと、おまえは出家して我が菩提を弔い、自分の解脱を求めなさい。

仇討ちは武士の習いにして名誉であった鎌倉の時代、俗世を離れよと命ぜられた勢至丸の幼心は、いかに重くつらく悲しかったでしょうか。
それでも彼は父の遺言に従い、武家を捨て母と別れ、よわい十ほどで寺に入りました。
※※

これは、のちの浄土宗開祖・法然上人が、子供時代に出家するきっかけとなった最重要エピソードです。

ということで、正覚坊の激推し坊主は、法然さんであります。
たった一言「南無阿弥陀仏」で極楽往生できると説いた法然さんは、鎌倉仏教の先駆者。その生涯は実に濃厚で、いつか大河ドラマになって欲スぃ。。。

上記のエピソードでボロ泣きした私です。
みなさんの推し坊主も、ぜひ教えてネ٩(๑❛ᴗ❛๑)۶


本日のイラスト:きゅるるん毘沙門おじさん

19件のコメント

  • 仇討ちが名誉とされた時代に。このお父上のお考えのなんて深いことよ!
    そして、それに従った方が……と、読み進めての……
    毘沙門おじさんのイラスト!
    気が抜けてしまいました。(笑)。
  • 結音さん

    お考え深いお父上、勢至丸が従順に出家しなければ法然という歴史人物は生まれなかったでしょう。すべてはお父上の遺言があってこそ……。

    と、ラストに爆弾の毘沙門おじさんです笑。
    妻の顔見て、きゅるるん♡してるオジサンです笑。
    気も抜けるし、腰もぬけますな٩(๑❛ᴗ❛๑)۶
  •  一番の推しはなんといっても空海と最澄なんですが。その辺は有名なのであえて別の人を挙げると「六祖(禅門の6代目継承者)・慧能」ですかね。

     中国の、禅の5代目継承者の元に弟子入りした方なのですが。貧しく学もなかった彼はちゃんとした弟子ではなく、精米などの雑用係として入門していました。

     が、ある時、師が弟子皆に「悟りの境地を詩にしてみろ、それで後継者を決める」と言い出しました。
     後継者と目されていた僧、神秀は「心は鏡のようなもの、塵や埃が積もらないよう磨き清めなければならない」という内容を書きましたが。
     慧能は(字が書けないので代筆してもらって)「鏡などなく、その台もない。いったいどこに埃が積もるというのか」と書きました。
     
     そして師は慧能に密かに衣と鉢を渡し「お前が継承者だ。けど皆納得しないだろうから、証の衣鉢を持って逃げろ」と。
     
  • (続き)その後、後継者になれなかった神秀の方の禅門は一時栄えるも時勢の変化もあり滅び、慧能の伝えた禅が現代まで続く禅門のルーツとなった……という。

     このエピソードで大事なのは「誰でも悟れる」ということだろうなぁと思います。逆にいうと修行したからって悟れるとは限らないのかもしれない……。

     いや、もしかしたら『禅門無双 ~ちょっとエリートの逆張りしたら無学な雑用係の俺が後継者になった件について~』みたいな感じだったのかもしれませんが。
     その後も逃げた異郷の地で「オレ読み書きできないし仲間もいないしまともに主義してないし、どうやって弟子作ってテラス作ったらいいんですか!?」というクラフト系異世界転生みたいな苦労が慧能に降りかかったと思われるが、それはまた別の話。
  • 木下さん

    木下さんの空海最澄好きは、もはや公認です笑。
    と、別の推し坊主がいたのですね。

    慧能、初めて聞くお名前です。
    中国の禅僧なのか、そして雑用役だったのが、才能を出して禅の後継者になったという。成り上がり系あるあるじゃないですか。

    慧能のこたえた「鏡などなく、その台もない。いったいどこに埃が積もるというのか」、あきらか空(くう)っぽい考え方ですね〜。禅らしくて好き😊

    良き僧侶に出会えてよかったです!

  • 木下さん〜つづき〜

    『禅門無双 ~ちょっとエリートの逆張りしたら無学な雑用係の俺が後継者になった件について~』

    いやはやもう、これで一本書いてくださいよww
    題名にして完璧じゃないですかww。
  •  今気づきましたが誤字が多かった……なんだテラス作るって。修行してないしどうやって寺作れば、ですね……

     さすがに異郷では既存の寺で証の衣鉢を見せて地位を確立したのだろうと思うんですが、「本物か? これ」「そもそも達磨大師伝来の衣鉢って見たことないわ」とかトラブルが予想される……

     小説書くとしたら夜寝てるとこを師匠に叩き起こされて衣鉢を押し付けられるとこからですね。
    「お前が後継者だ」
    「は?」
    「悟った弟子はお前だけだ、これを持って逃げろ」
    「い、いやあれはふざけてあいつの逆を書いただけで……」
    「謙遜するな、お前は見所があると思っていた」
    「(じゃあなんでずっと米つき係なんだよ)」
    「さあ早く行け! 禅門の未来を頼んだぞーっ!(号泣)」
    「いや泣きたいのは俺ですよ衣と鉢だけ渡されて追い出されるとか! ドラクエの王様でももうちょいいい装備くれるわ! 読み書きもできないから僧侶レベルゼロですよ俺!?」

     ……何にせよよく絶えなかったなぁ、禅……。
  •  でも日蓮くんはちょっと強引で苦手かなあ……
    「念仏も真言も悪魔の言葉だ。信者(オマエ)は……法華経(オレ)の言葉だけを聞けばいいんだよ(壁ドンあごクイ)」
    みたいな感じですね。ときめきますね。(??)


     そこまで考えて思いつきました『乙女ゲー仏教学園』

    「オレは風だ。誰にも繋がれんさ」
    ――自由奔放な生徒会長・空海――
     飾らない人柄と行動力から皆に信頼される生徒会長。でも笑顔の裏には親しい甥・智泉を亡くしたトラウマが……アナタ(主人公)は彼の支えになることができるのか?

     「空海さんの誕生日に詩を贈る会」という文化人だかパリピだかわからない会が存在する(実話)。

    「校則を守れぬ者は学園(やま)を下りろ」
    ――カタブツ風紀委員長・最澄――
     自他共に厳しすぎる風紀委員長。だがその奥には生徒への暖かいまなざしが秘められている。
     論争に熱くなりがちな彼を巧く息抜きに連れ出してあげて!

     「空海さんに詩を贈る会」メンバー(実話)。
  • 「アンタ! オレの……観音様になってくれねえか」
    ――学園一のスケベ(煩悩)小僧・親鸞
     スケベ(煩悩)が止まらないと公言する問題児。その奥の真剣な思いに気づいてあげて!

    「…………」
    ――達磨理事長――
     常に無言で座している。生徒にはもうそういう形の置物として扱われ、台車で移動する。入学式の理事長あいさつを無言で通し、新入生がざわつくのが春の風物詩。

    「あ~、この人はまだ悟ってないっスね」
    ――購買部のお兄さん・慧能――
     アナタと気になる僧侶たちとの「愛情度」「友情度」「悟り度」を教えてくれるお助けキャラ。他に袈裟などの装備アイテム、線香などの消費アイテム、歓喜団、吉祥果などの回復アイテムを購入できる。
     攻略対象ではないので注意! どうしても彼が気になるアナタは追加コンテンツを購入してね!

     隠し要素:学園の様々な場所に隠された「大般若経(全600巻)」を全て揃えると……?
  • 木下さん

    寺とテラスの誤字、なんにも違和感感じなかった私は賢者。

    「ほへぇ〜。弟子作ってテラス作るんだ!(謎の納得)」

    そして、プロローグができましたね!幸先良さそう(そうか?笑)なので、ぜひそのまま書き続けてほしい……。
    絶対面白い小説作り出せますよ!

  • 木下さん

    まさかの坊主版乙女ゲー!!!いいなぁ!!!
    日蓮の「念仏も真言も悪魔の言葉だ。信者(オマエ)は……法華経(オレ)の言葉だけを聞けばいいんだよ(壁ドンあごクイ)」で、グッサリきちゃったじゃないですか(チョロい)!
    そのゲーム、まじで欲しい。切実に欲しい……。

    さすがは会長の席を覇する男、空海。過去に暗い影を落とすところが、乙女心をくすぐられますな。
    風紀員長の最澄、お似合いすぎて好き。デートに連れていかないとですね☆

    て、なにその空海のファンクラブみたいな会は笑。
    法然もあるんじゃないか……?
  • 木下さん

    親鸞はなんか嫌やわ〜ww
    でも、坊主界で一番いそうなタイプ。これも修行のうちと言い張って己の観音を求める、無自覚煩悩型。もはや脅威。

    達磨あるあるすぎて笑。理事長〜!
    ま、触らぬ言わぬの人柄は、ある意味達観した人格者だものね。

    慧能だけなんか違うw
    召喚ではなくて、他アイテムとの交換か課金でしか手に入らないやつか……。でも、あったら超絶便利のチート級ですね。

    隠し要素が大般若経600……。📜←みたいなカードを600枚集めたら開放されるとか。
  • 木下さん

    私も一句

    「人は皆、愚かなのです。この私も……」
    ——図書委員長・法然——
    経典を読み漁り、勉学で己を鍛えるのが趣味。しかし自分は愚か者で、まだまだ修行不足だと思っている。そんな彼を、いっぱい褒めてあげよう!
    浄土三部経読破で、新スキル・極楽往生をGETできるよ!
  •  そう……法然さんもやはり凄い。大乗仏教が大乗仏教として完成したのは法然さんによる所が大きいと思います。
     仏教は実践哲学(だと私は解釈している)……今までの仏教から外れて見えようが、実戦で人を救えてナンボだろうがっ! という心意気を法然と親鸞からは感じます。

     その2人の教えのルーツであろう龍樹の『十住毘婆沙論』の解説書を今読んでますが……正直分からんっっ!
     ……とりあえずここが「哲学としての仏教」から「宗教としての大乗仏教」への転換点なのだろうということだけ分かりました。あと龍樹は阿弥陀推し。
     そもそも『龍樹の仏教』ってタイトルだから空の思想の『中観論』の解説書だと思って買ったんだ……。
  •  余談ですが今読んでる本では『チベット仏教王伝』が意外と楽しいです。
    「十一面千手観音誕生秘話」「ハヤグリーヴァ(馬頭観音)、アムリタ・クンダリン(グンダリ明王)に変化して邪鬼を倒す観音菩薩」
     ……やはり観音菩薩は強キャラ……!

     あとはラーヴァナとクベーラが同じ寺院を守護したり。チベットでは仲直りしたのかもしれません。
     クベーラが「ナーガ・クベーラ」という表記をされてたのも気になります。毘沙門天に龍属性が……?(なお、その件に一切解説はない……)
  • 木下さん

    龍樹が阿弥陀推しって、はじめて知りました!そうなんだ、阿弥陀推しか〜!

    龍樹といえば中観派ですが、Wikipediaによると教義的には「縁起」などがあるようです。思想部分は、仏教系の大学で叩き込まれてるので、私のほうが強いですぜ旦那!

    たしかに、大乗仏教で、哲学的仏教は完全に宗教化したという感じですよね。
  • 木下さん

    ほほう!
    大学でチベット仏教史を学んだことがあるのですが、なんやようわからんやった!笑
    なんか、言葉が独特ですよね。インドともつかぬ国柄の仏教で、エキゾチックな怪しい感じがたまらん好きです。

    ラーヴァナ×クベーラセットだと!?仲直りしたんかな?笑
    しかもクベーラに龍属性が!拙作で、我が毘沙門天は徳叉迦龍王の娘吉祥天を奪ってますが、まさかの反対で彼のほうが婿入りしたのでしょうか……。
  • 勢至丸、のちの法然上人の良い話にほろり……、という気分になっていたら、きゅるるん目のおじさまが。このギャップがすごいです。
  • 加須さん

    勢至丸は悲しい過去を乗り越え、のちに法然として浄土宗をひらき……からの、きゅるるん毘沙門おじさんです。笑
    おめめが、きらきらです。
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