• に登録
  • 異世界ファンタジー

TikTokの『1分で読める創作小説2025』で、挿絵を入れたかったのでこっちに掲載。三題噺「マクドナルド・資格・ちいかわ」で千文字のショートショート🍔🍟 気軽にコメントやいいねをしてください!

「あたし、資格の勉強始めてん」

 学校帰りに立ち寄ったマクドで、島本がバーガーを頬張りながら言った。

「へえー。あんたでも勉強するんやね。草むしり検定5級とか?」
「誰がちいかわやっ!」

 ツッコむ島本に、私は「冗談冗談」と手を振る。でも、心の中では正直、驚いていた。島本が勉強なんて言葉を口にするなんて。

「あんたが資格なんて、全然想像つかんわ。何で始める気になったん?」
「そんなに聞きたいなら、ナゲット一つで手を打ってやってもええわ」
「上から目線腹立つぅー」

 聞きたいのは本当なので、私は自分のナゲットを一つ摘んで、彼女の口に持っていく。

「サンキュ……ゲホッ! やめて、口にねじ込むな!」

「あはは。なんか殺意湧いて」
「ゲホゲホ。こっわ……! 私の親友」

 涙目の島本が私から距離を離す。少しやり過ぎたかも。

「ごめ〜ん。島本様、この私めに理由をお聞かせくださいまし☆」
「コイツ……! はぁ。なりたい職業が見つかって。その為に、資格が必要なんよ」
「ほうほう。何になりたいん?」
「笑わへん?」
「笑わんよ」
「――保育士」
「ええやん。あんた、前から子ども好きやったよね」

 島本が保育士か。頭の中で、子どもたちに囲まれている姿を想像してみる。めっちゃ似合うわ。

「応援するぜ、親友。私は島本が保育士になるのはぴったりだと思う。将来、私の子どももよろしくな!」
「気早すぎ! あたしたち、まだ高一やのに」

 彼女がけらけらと笑う。それに私もつられた。

「あのさ、話変わるけど。最近のマクドのハッピーセット、転売行為多くてムカつく」
「それな! ちいかわのやつ、あたし欲しかったのに。一部の奴のせいで、すぐに販売終了したし。ほんま許さん」

 島本も顔を顰める。

「店員さんが一生懸命作った商品を、道端に捨てるとか……お前ら、食べる資格ないって思う」
「うんうん。フードロスやし」
「だから私、ええアイデア思いついてん」
「なんや? 教えてや」
「おもちゃをなくして、パンケーキの形を――ちいかわのキャラクターにするんよ。焼印でもええ。それなら、誰も捨てへんやん?」
「でも、おもちゃはほしいわ」
「せやけど、まずは転売行為の意識を改善させなきゃ」
「そうやな。で、その手はなに?」

 私が差し出す手に島本が訊く。

「授業料」
「ったく、もう。あ〜ん♡」

 口を開けると、島本にポテトをねじ込まれた。

「仕返し成功☆」

 満足げな表情の島本。

「ゲホッ。……ヤバイ親友や」

 でも、あんたの笑顔好きやで。

1件のコメント

  • 面白い小説とステキなイラストですね!

    はじめまして。先程はフォトいただきまして、ありがとうございました😊♪

    1分で読める小説がお好きなのかな?と思いまして、私の作品ですと『サイレン スー』というのがそれにあたります。※紛らわしいタイトルがございますので、お間違いのないように。

    もし、「面白い🤣!」となりましたら、『スー三部作』となっている、『バイオレン スー』にも進んでみてくださいませ。

    せっかくのご縁。これを機会に今後ともご交誼のほど、よろしくお願い申し上げます。
コメントの投稿にはユーザー登録(無料)が必要です。もしくは、ログイン
投稿する