盆休み。私は家族とともに、母方の祖父母の家がある小豆島へやってきた。お正月以来なので、約半年ぶりの再会を、ふたりは心から出迎えてくれた。
父は父で、自身の地元へ帰省中。「俺の実家だと、母さんが羽根を伸ばされへんやろ」、と妻を気遣ういい旦那だと娘ながら思う。
島の料理はどれも美味しく、中学校で野球部員の弟は、丼に盛ったごはんを二回おかわりしていた。
お腹が膨れ、縁側に腰掛けた私は、スマホのメッセージアプリを開き、
『いま、何してるん?』
送ると、すぐに既読が付く。
『宿題やっとる』
島本から返信。
『あんたにしては珍しいな。明日、雪でも降るんちゃうんか?』
『失礼やろ!』
少し茶化してみたら、たこ焼きのキャラが怒るスタンプが送られた。
『和泉は小豆島に着いたんか?』
『着いたで。海がすぐそばやから、刺身が絶品やったわ』
『ええなぁ~。あたしんちの夕食、ハンバーグや。それも、お湯で18分茹でなアカンやつ。夏休みやからって、手抜きやと思わへん?』
『あのハンバーグ美味しいやん。文句言ったら、ご飯抜きにされるで』
『それもそうやな。あたしも、そっちに行きたいわ』
(目瞑っても、羨ましそうな顔が浮かぶわ)
彼女が、どんな表情をしているか考え、思わず笑いをこぼす。島本の言葉の通り、一緒に島を歩いてみたいなと思った。
『私もあんたに、島のこと紹介してやりたい。気づいたんやけど、観光客が多かったわ。たぶん、アニメの聖地巡礼……? ってやつ』
『ああ。「からかい上手の高木さん」やな。あたし、アニメ全話観てたわ』
『へえー。アニメとか観るんやな』
『気晴らしにな。ほんま最近のアニメ、作画がきれい! 「瑠璃の宝石」やと、一話のガーネットに感動するで!』
今度は、たこ焼きのキャラが号泣しているスタンプ。こいつ、このキャラ好きやな。おい、連投はやめろ! 画面がたこ焼きで埋め尽くされとるわ。
『そんなにオススメなら、今度観てみてるわ』
『観て、観てっ! 配信もあるし、何なら、ブルーレイボックスあるから貸すわ』
『ガチのファンやん(笑)』
『ヲタク舐めたらあかんで』
『アニメ観すぎて、宿題おろそかにするなよ』
『あたしのオカンか(笑)』
『誰がオカンやねん(笑)』
その後も、島本とやり取りをし続け、
『ごめん。お母さんに、お風呂入れって言われたわ。じゃあな』
『うん。おやすみ』
『おやすみ』
画面をスリープにし、スマホをポケットへ仕舞う。
――お土産、何買ってこようかな?