美しいCAさんは僕の記憶の始まりだった……。20代半ばの僕が、唯一幸福だったと感じているのは、武蔵野の雑木林の近くに住んでいた幼い頃だ。今の僕の記憶は、そこを離れる時に始まっている。当時の姉の幼馴染で客室乗務員になっていた福本香澄さんと羽田発金沢行の機内で再会する。金沢の夜、食事に誘ってもらった僕は、姉が僕を嫌っていた理由、逆に香澄さんが僕を可愛がってくれていたこと、そしてこの美しい女性が自分の記憶の始まりの情景に含まれていたことを知る。その晩、僕たちは大人の関係になるが、東京に戻って彼女に連絡を取ろうとすると、すでに彼女がなくなっていたことを知らされて……。
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