アトラーナは文明から遠い時代の国です。
一番恐れられているのは病気でした。
メイスの家族を奪った流行病が何かはわかりません。
もしかしたら、たちの悪い風邪から来た肺炎かもしれません。
特効薬の無い恐怖は、今のコロナに似ています。
村人は、次々死んでゆくさまにパニックを起こしたのだと思います。
何をどうしたらその病の元を絶てるのか、無知から来た答えが家を焼いて井戸を埋める事でした。
メイスは病気にかかっていないにもかかわらず、村人にとってすでに歩く病原体です。
家族の不幸に追い打ちをかけた迫害に、メイスの怒りと絶望はどんどん膨らんでいきました。
どこか、どこかコロナ差別に似ている話です。
これを書いたのは10年ほど前ですが、それはコロナの無い世界でした。
https://kakuyomu.jp/works/16816452220234573835/episodes/16816452221514049732