どうしても本文に書けなかったことを記載する。
蛇足の公算が大きいが、仕方ない。
書かなければ、と思ったからだ。
今作に登場したネームド人物のほとんどが「エイリアン」である。それは社会に馴染めないとか、それぞれの性的な性質に由来する。特に現代において、結局のところLGBTQはそれだけで特筆する性質になってしまっている。他人と違うと指を差されてしまう彼らは、地球に生きるエイリアンだ。
私が考えるに、LGBTQが真に市民権を得る日とは、それはLGBTQであることは「髪が長い/短い」「細身/ぽっちゃり」程度の、なんのことはない情報のひとつでしかなくなった日だと思うのだが、それはそれとして。
・はじめは誰も愛したことがない
Qではない。レズビアンの両親に育てられたが、同性愛に対して深い知見も安い偏見も持ち合わせていない。彼が信じているのは「この人のことが好きだ」という根源的な感情のみである。それは恋愛のみでなく、友情にも当てはまる。だからはじめは、香奈城のことも、相原のことも「愛している」と言える。
って書きたかったけど出来た? 不安。
・香奈城
根っこが真面目。男性が好きだが、男性なら誰でもいいわけじゃない。それに、自分に対して好意的な感情を寄せてくれる女性などに対しても優しくしたいと願っている。それははじめと出会い、愛について考える機会が増えたからである。
自身の秘密(性的マイノリティ)に対してやや過敏な時期があり、中学時代は少し荒れていた。はじめは自分の秘密を知った上でまったく動じなかった、そして態度を変えなかった初めての相手である。
って本編に書ききれなかった。実力不足です。
・一ノ瀬
男性だが女性。たこ焼きシリーズと同一人物。
身体と精神の違いに悩むことも多いが、好きな人についても色々と悩むところが多い。イケメンが好きで香奈城も格好いいと思うし、はじめとも出会い方や周囲の環境が違えばもっと深く仲良しになっていただろう。だが、それ以前に彼女はもう一人のはじめに出会っているし、根津とも出会っていた。
色々悩んだ末、自分はバイセクシャルな女性だと思うようになる。
って書くのは流石に本編から離れすぎて無理だった。この子はかなりお気に入りだったので、書けなかったのはとても心残りです。
・根津
多分一番伝えきれなかった。
根津が一ノ瀬を好きになったのは、彼女が自身を女性と認識して以来の話。それまでは特に気にしたこともない。むしろ、もう一人のはじめのような、尖った女生徒に対してあこがれのような視線を向けていた。
一ノ瀬が初めてスカートを履いて登校した日。揶揄う同級生達を前に、はじめはキレて拳を振り上げた。根津はときめいて、彼女の手を握った。根津と一ノ瀬の交流は、あの日から始まったのである。ちなみにはじめ(たこ焼きシリーズ)とは普通にお喋りをする程度の仲。そんな友達ってかしこまっていう程の仲じゃないけれど、たこ焼き屋で顔を合わせたら普通に挨拶は出来る。友達の少ない根津にとっては、かなり珍しい「普通の友達」がはじめ。
・相原
エイリアンの皮を被った人間。
息苦しい毎日に、眩しいものを見つけた女の子。
あんなに楽しそうにご飯を食べる彼はどんな人なんだろう――。そう思いを馳せた瞬間から、相原の恋は始まっていたのです。
以上。
本編で書けなかったことを書き残しました。
実力不足、恥の覚書です。