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感想文 私を話さないで

 関西人です。まって、帰らないで。
 今から感想文を書きます。題材はかの名作、ノーベル文学賞受賞者、カズオ・イシグロ氏の「私を離さないで」である。
 目の肥えたユーザーの方々はきっと今頃鼻で笑っていることだろう。こいつタイトル誤字しとるやないか。笑
 なに笑てんねん。なめとんか、あとから効いてくるんじゃい。
 閑話休題。私を離さないでの話をしたい。
 結論から言うと泣いた。25歳社会人4年目にぶっ刺さる話だった。ネタバレを考慮しつつあらすじを書いておこう。
 誰かのために死ぬことが決まっているクローン人間の話。
 感想と言ったって様々あるはずだ。小説に限らず誰かの感性に触れる経験は自らの内面を良くも悪くも掻き乱す。
 おっと今帰えろうとしたか?一回スクロールしてまだまだあるやんけ誰やねんコイツ思て帰ろうとしたか?やむなし。風邪引くなよ。
 さて、感想を語る上で別の本を挙げたい。同じくイシグロ氏の作品、クララとお日様である。
 心配するなって。長くしないから。この本のメッセージの1つに"誰かの中に自分がいる"と言うものがある。本当だよ、日経新聞に書いてた。いやマジで。
 俺の超越ぶっ飛び理論によると、これはつまり"自らの個性を形成するのは他人"と言うことだ。
 我ながら言い得て妙だ。他人がいるから自分がいる。天才かもしれない。
 でよ、件の私を離さないでの中で一際印象に残るシーンの話になるのね。
 あ、まって帰らないで、もう終わるから。
 主人公が17歳くらいの時にすっごく自分の個性について悩むのよ。私なんて汚らしい人間なのかしら!って。
 ここで、クローン人間って言うエッセンスが聞いてくる。どれくらい効いてるかって言うとそうだな、アル中カラカラ見たことある?あの人がかける一味くらい効いてる。知らない人は調べてね。
 ほんでね、彼女は自分がクローンだって知ってるわけ。誰かのコピーだって。だから、今まさに自分を悩ませる個性は、もうどうしようもない、オリジナルが持っている不可侵不変不滅の刃なんじゃないかって。
 そんな彼女が取った行動がきつい。ポルノ雑誌をひたすら捲るんだ。この中に、自分と同じ顔があるかもって。
 怖かったろうなと思った。自分の、可能なら否定したい個性を決定的にしてしまうかもしれない本が目の前にあったとして、開ける?
 俺は無理。たぶん燃やす。
 社畜はそのシーンに胸を打たれたわけよ。かっこいいじゃん。足掻く様も、その勇気も。
 そんな感動を提げて呼んだクララとお日様に前述のテーマが書かれていたの。雷に打たれたみたいだった。
 これ、答えじゃんって。あの子にかけてあげるべき言葉じゃんって。
 だってさ、他人の中に自分がいるんだから、その中で形作られる自分は紛うことなきオリジナルだし。また絶対的に可変じゃん。
 強くなった気がしたね。読書はこうでなきゃ。
 強くなった俺は会社に行ったのよ。いつもと同じように。そしたらいつもと同じように怒られるのね。
 俺、1995年産まれなんだけど、この世代がなんて呼ばれてるかご存知?究極のゆとりですって!きぃー!!!ゆとりにしたのは大人のくせに!!死ね!!
 ゆとりをいじるのは結構ある。俺も結構言われる。指示待ち〜とか、自主性がない〜向上心がない〜〜とか。
 その度に言ってやるんだ、私を話さないで!って。
お し ま い
 

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