『CRUMBLING SKY』
https://kakuyomu.jp/works/16818622175236685267尾鳥と瀬川の再会が描かれますが、冒頭から「彼女が十七歳である」という異常性が提示されており、読者に強い違和感と緊張を与えます。ダメ押しに包丁まで持たせちゃって……。
瀬川は「初恋の成就」という甘い誘惑の形で尾鳥に再接近。
これは単なる恋愛感情の発露ではなく、人生の再起動、やり直しの手段として描かれています。彼女は物語の暗部を支配する悪魔的存在で、尾鳥は終始劣勢でした。この女は強すぎる。
『人生は些細な分岐点で大きく変わる』この台詞は物語全体のテーマと言えるかもしれません。まるで周波数のズレのように、人生は簡単に分岐していってしまうことを示唆しています。
「あのときああしていれば」とか、「順番が一つ違っていたら」とか、些細な出来事に人生が影響されて、成功を逃した経験は誰でもあると思います。作者の私もそうですし、読者の皆さんも心当たりがあると思いたい。瀬川はそうした後悔をやり直す超越した存在です。
瀬川の台詞『体は穢れを知らないあの頃のものよ』という言葉は、やや過剰に蠱惑的な誘い文句であり、尾鳥に揺さぶりをかけています。狂気を帯びており、純粋性の回帰がいかに恐ろしいかを語っています。
一度割れた卵が再び殻の中に収まり、ヒビも残らないなんて不気味ですからね。