一田和樹先生(https://kakuyomu.jp/users/K_Ichida )主催の
第三回 無貌賞「私の発狂日記」と銘打った下記リンクのカクヨム自主イベントに於いて、僭越ながらしれっと審査員を務めさせていただいておりました。
https://kakuyomu.jp/user_events/16818093088186967500
すったもんだの選考の末、大賞、審査員賞受賞作品が決定致しました。
下記が大賞受賞作品と審査員賞(金沢出流選出)受賞作品への選評となります。
大賞
『ヒト喰い日課が襲ってきます』黒澤カヌレ
八日をかけてヒトを味わう怪異。
個人的には私の発狂日記という趣旨に合う作品ではないとも思いはしましたが、作品の質は群を抜いて断トツでした。
金沢はホラー小説として愉しませていただきましたが、叙述トリックということで何度も読み返すハメになり気付けば沼にハマってなかなか抜け出せないというような作品で、文字数からすると考えられないほど愉しめました。
とはいえこうして講評するのも金沢にとっては難儀な作品であったので困りものです。
周囲のニンゲンにオススメしやすい掌編小説でもあります。
実際何人かは読んでいまして、予想通り私の友人たちから一様に好評を得ていました。
作者様の他の作品も読んでみたくなる佳作です。
金沢がなにをいうより、まあいいから一度読んでみなさい、とそういいたくなるような小説でした。
https://kakuyomu.jp/works/16818093089190075572
審査員賞(金沢出流選出)
『目蓋』夢月七海
愛情は狂気に似ている。
自身の体内で育ってゆくきもちのわるい虫をいつしか愛でてしまい正常な判断力を失うという展開はなかなかに面食らった。
聞くにハリガネムシなどの寄生虫は宿主の思考や行動を操作すると聞く。
ハリガネムシに寄生されたハラビロカマキリはなぜだか光に吸い寄せられ、やがて光を反射する水の中に飛び込んでしまうそうだ。
そうして、ハリガネムシは水中で魚の餌となりそれに寄生し、卵を産みつけるのだそう。
この小説の主人公も思考や行動を寄生虫によって操作されているのかもしれない。
もしそうでないとしたらいくらなんでも恐ろしいし、そうであったとしても恐ろしい。
物語のラストもうつくしい情景が目蓋の裏に映し出されるようで、読後感は濃厚でした。
ストーリーや筆致はバランスよくまとまっていて過不足は感じられず、内容も好みであったので推させていただきました。
https://kakuyomu.jp/works/16818093089603517404
以上が受賞作への選評となります。
その他の投稿作にも良作がたくさんあるのでぜひご一読くださればとおもいます。
さて、ここからはほとんど雑感です。
はじめての選考、むっちゃ悩みました……
大賞1本審査員賞1本なので、致し方なし……いや、この作品も入れたいな……というかんじで、推したい作品は複数ありましたが選べる作品は限られている……
賞というモノの残酷さが身に染みましたね、反面、興奮のようなものも味えました。このような機会をくださった主催様に感謝……
ではおわりに今回の企画に書き下ろした拙作と主催の一田先生の作品を紹介させてください。
『常人日誌』金沢出流
https://kakuyomu.jp/works/16818093089540048851
『ミケは首を吊って鍋の出汁となった』一田和樹
https://kakuyomu.jp/works/16818093089586584098