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「歩道橋の音楽」あとがきにかえて

たくさんの方に僕の処女作「歩道橋の音楽」を読んで頂き誠にありがとうございました。最終日の4月7日に何を改稿したのかというと「漢字」を可能な限り「ひらがな」に改稿したのです。実際、全国各地でサイファーでスキルを磨いているのは、中学生や高校生が多くそういった世代に読みやすいように、小学校の図書室にも置けるような普遍性を追及しました。この作品は主人公が作者の「僕」であるように私文学であり、メタフィクションも多分に含んでおります。そして「クスリなんかに手を出したら大事なものを失なうぞ」「自殺なんて馬鹿な事は考えるな、こんなボロボロになっても僕は生きている」という若い世代向けのメッセージでもあります。ただ僕はサクセス・ストーリーを書いたわけでもありません。ストリートのリアルな現状、孤独を描きました。実際上、MCバトルで名を上げたMCでもラップだけで飯が食えるかといえばそうでもないのが現状です。出版不況、音楽不況、そこから抜け出すための小説です。ミステリー作品ではないですが、多くの伏線を仕込んでます。例えば最初の鬼流星とのバトルで「置き看板」「ゴミ散乱」と韻を踏むためだけに、その前の文中でミナミの繁華街の様子を描いてます。また、日本橋で駐禁を切られる様子を描写しています。それがラストで「駐禁切られてレッカー移動車」にて伏線を回収しています。文中でサンドウィッチを食べるのも、杉田玄白の本を読むのも、砂場で子供達がぬいぐるみで遊ぶのも全てラストでライミングして伏線を回収しているのです。他にもまだまだ隠されています。フリースタイル・ラップをやってたら楽しいですが、その先に夢がない。そんな報われない仲間たちのために書いた小説でした。8マイルを今から観ようという学生は少ないです。今、フリースタイル・ラップは全国で100万人以上を熱狂させています。決してオリコンチャートに登場しない音楽。この小説はこれからラップを始めようという若者に向けた希望のメッセージでもあります。また、rhymeの楽しさを大人の読者にもわかって頂けた事が嬉しいです。ありがとうございました。

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