連載中の学園戦記三国志
https://kakuyomu.jp/works/1177354054890213389の最新話、番外編その7[飲料]で曹操や孫権の酒の席でのエピソードを紹介したが、劉備について触れていない。
ここで劉備と酒のエピソードを紹介しよう。
と、言いたいところなんだが、この人あんまり酒で酔っ払って乱れたという話がない。
劉備は歴史書に、口数が少なく、よく人にへりくだり、喜怒を顔に表さなかったとあるが、酒の席でもそんな感じだったんだろうか。演技っぽい感じもするが。
劉備と酒で一番有名な話は、曹操との酒を煮て英雄を論じる話だろう。呂布を倒し曹操のもとにいた劉備が、酒の席で曹操と各地の群雄について話、曹操が英雄と呼べるのは君と私だけだといい、劉備が思わず箸を落としてしまうあの話だ。学園戦記三国志で『第42話 問対!ソウソウの英雄論』の元になった話だ。
しかし、小説『三国志演義』では酒の席となってるこの話だが、歴史書『正史三国志』では食事中と書いてはいるが、酒があったとは書いていない。
他に益州の劉璋が劉備を招いた時に歓待し、宴会が百余日続いたとあるが、具体的な劉備の宴会での様子は書かれていない。
もう少し詳しい宴会の様子だと、劉備の家臣に学者の許慈と胡濳という二人がいたが、この二人は仲が悪く、議論の席では感情剥き出しで罵りあい、時には鞭を出して相手を従わせようとする有り様だった。(本当に学者かこいつら?)あまりの様子に見かねた劉備は、宴会の席で、音楽を演奏する時に、酒の肴として芸人二人に彼らの争う様を真似させ、その様子を見せて二人を反省させたという。
まあ、宴会の様子がわかる話だが、劉備が酔っぱらう話ではないな。
と思ったら劉備が酔っ払った話が『龐統伝』にあった。
劉備が益州を征伐し、いくつかの勝利を得た頃、酒を盛り、音楽を鳴らして大宴会を開いた。劉備は龐統に「今日の集まりは実に楽しい」と言うと、龐統は「他国を侵略して喜ぶのは仁者のすることではない」と答えた。劉備は酔っ払っていたので腹を立て、「出ていけ」と言って龐統を追い出した。しかし、劉備はすぐ後悔して龐統を呼び戻し、「先ほどは誰が間違っていただろうか」と訊ねると、龐統は「君臣ともに間違っておりました」と答え、劉備は大笑いして、元のように宴会を楽しんだ。
おお、劉備が酒ではめ外してる話だ。
まあ、でも曹操や孫権に比べるとそこまでひどい酔い方しないなぁ。