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作者は後日、意図しなかった伏線に驚愕する。

本日、2月14日はバレンタインデーでございます。
当人、森乃宮伊織は案の定ハンカチを加えて泣き叫んでいる現在です。

先日投稿したバレンタイン小説「死際に贈る『POISON』を。」ですが、正直に申し上げると伸びが悪い。
PVは現在4しかありません。
ハンカチ噛み切りそうなくらい悔しい。ましてや、自分が納得してしまった作品であるため余計にたちが悪い。

主人公と言うべきか、語り手と言うべきか、まあ地の文の男の子は現状の僕と同じような考え方で、まさに非モテ人間の主張は代弁した「反バレンタイン勢力」であることは間違いありません。……しかし、自分がモテ側の人間になった時、醜い人間は掌返して「そっち側」に行ってしまうわけです。人間らしいと言えば人間らしいし、そこが人間の肝だと僕は思いますが。

そして、この何とも厨二病チックな「死際に贈る『POISON』を。」という題名ですが、半分近く書き終わってさあ寝ようと言って布団に入ったときにふと天から舞い降りてきたのです。
忘れっぽいたちなのでメモしなければならんと、せっかく入ったぬくぬくの布団から這い出すのは存外辛いことでした。

「恋=毒」のテーマは書き始めた頃から考えていたのでこの語呂の良さとともに即決したわけですが、どうしてもはじめの「死際に贈る」という言葉がただの「合わせ」であって意味をなさないことに不快感を感じていたのも確かでした。

まあ別に気にする人もいないだろうと信じ込み、とうとう書き終わって一度最後までざっと読み返したとき、思いもよらない「繋がり」を見つけてしまいました。

何かの心得違いで作品の終盤、指は勝手に「ツキが綺麗だなぁ」というセリフを書いてしまいました。いわば告白の代名詞。それを主人公はふと声にして漏らしてしまったのです。

そしてまたまた作家魂が働き、シメには「まぁ、こういう展開も俺は嫌いじゃない。なあ、紬稀《つき》ぃ?」というセリフがポッと浮かんできたのです。
つまりこれによって目の前にいるバレンタインチョコをくれた「純粋無垢の権化とも言えよう黒髪清楚の少女」は紬稀(ツキ)という少女であることがわかり、同時に語り手は意図せず「少女が綺麗だ」ともとれる発言をしたのです。

一旦戻って「死際」のお話へ。

その告白の名台詞「月が綺麗ですね」の返答。もちろんご存じですよね。
様々ありますが、一番定番なのは
「死んでもいいわ」

――そう、そういうことです!

意図しなかったこの流れに気づいた時、それはそれは牧名沙羅が「東京都同情塔」という韻に興奮するかのごとく、テンパった記憶が新しいです。

「この最後のセリフに気づいたとき、いや堕ちたとき、あなたは変わる」
そんなセリフが言えるくらい大きな小説家になりたいと改めて思ったそんな今年の聖なるバレンタインデーでした。

「死際に贈る『POISON』を。」
https://kakuyomu.jp/works/16818023213349468011

未読の方はぜひ読んでください。
あなたは今、小説家・森乃宮伊織が生まれる前、神秘的な胎内を覗いているのです。

2024/02/14 森乃宮伊織

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