無事完結することができ、嬉しく思います。
ネタバレになりますので、まずは作品の本文を読むことをお勧めいたします。
携帯電話がない時代の恋愛に、病的な憧れがある。
昨今のインターネットが発達した世界では、携帯電話によるメール、SNSを通じて世界中どこでも繋がることができます。
ではそれ以前は?
たった数百メートル離れた好きな女の子の家に電話をかけるのに、お父さんが出たらどうしよう、とか、他の家族が出たときどう対応しようかとドキドキして、とてつもなく勇気を要した時代が僕は好きです。
このお話は、そんな憧れから始まった物語でありました。いかがだったでしょうか。
実を言うと、1996年というのは筆者の誕生年でもあります。つまり、当時の高校生の生活を、僕は知りませんでした。全て、見聞きしたり想像したりで描写しています。
"超常現象でも起きなければ、運命の恋など成立しない"。
これは僕が尊敬している作家さんである三秋縋先生が語った論です。僕はこの世界観が大好きなのです。
この作品のテーマは、花と色、そして雨です。前者二つはLa Vie En Roseの和訳「バラ色の人生」の通りで、後者はこの作品がもともと雨を題材にして作られていた時の名残です。
登場する女の子は5人います。これは一般的な一重咲きの薔薇の花弁が5枚であることからそう設計しました。
また、名前にも花や自然の要素を取り入れています。
橘桃華。メインヒロインです。桃色の花といえば桜を想起させますが、ピンクの薔薇もありますよね。
桃華の姉・夏樹。花とは違いますが、樹木の樹です。グリーンの薔薇の花言葉は「あなたは希望を持ち得る」です。
茨紫苑。イバラはその名の通り薔薇で、紫苑は作中で出た通り別の花の名前です。
妹の智花。智花という名の花はありませんが、個人的なイメージカラーはオレンジです。オレンジの薔薇の花言葉は「無邪気・絆」など。
井上恵については、敢えてなにも当てはまらないようにしています。彼女はニセモノの女の子でしたので。
それから、6人目の美雨。
ミュージシャンとして1998年にデビューし活躍されている坂本美雨さんから取った名前です。作中の『ミュータント』の下りは、彼女の父親である同じくミュージシャンの坂本龍一さんによる命名の由来を主人公が知っていた、という流れですね。
投稿開始から約一週間、まさかこんなに早く完結に持ち込めるとは思いませんでした。実は先週の時点での書き溜めは、メモ帳に約4万字でした。この四万字を書くのに、僕はおよそ二年を費やしています。しかし、現在は7万字弱。投稿して読者の皆様に反応や感想を頂いたことが、大きなモチベーションアップに繋がったのだと思います。本当にありがとうございました。
次は、夜眠って次の日目を覚ましたら前日の記憶を失くしてしまう特異な病気を持った女の子と恋をする話を書こうと思っています。