「トリックオアドスケベ! みーちゃん! 性的な悪戯かドスケベかどっちか選んで!」
「YESかはいかみたいな選択肢をやめろ」
「だって! 今日の私はサキュバスコスだよ! 精をカラッカラに干からびた後も水につけてもっかい搾り取るんだよ!」
「恐ろしい事やってんな。環境に優しそうだが」
「お兄ちゃん! ドスケベオアドスケベだよ! ドスケベかドスケベか選んで!」
「情報量が多すぎる」
「知ってた!? お兄ちゃん! お化けってえっちなのが苦手なんだよ! つまりハロウィンはえっちな日なんだよ!」
「アイルランドの人に謝れ」
「アイルランドのみんなー! みってるー!? ごめんねー! アイルランドの人たちの大事な文化は私の手によってドスケベカーニバルに「NTRビデオレター風謝罪はやめろ」」
「というかNTRビデオレター風謝罪ってなんだよ」
「……? もっかいやる?」
「やらんでいい。はい、お菓子だ。ちゃんと準備してたからな。……あと。その格好で外に出るなよ」
「わーい」
「わーい」
そのまま零と新に飴を渡す。
というか二人の格好がやばい。サキュバスコスと言っているが。
黒く光沢のある紐のような下着。もう胸など隠れていないが、そこが見えないようにハートのあれで隠されている。
そして、頭の横の方からは二本の角が生え。しっぽは――
「……どこから生えてるんだ?」
「引っ張ってみる?」
「…………やめておこう」
零がふりふりとおしりを振ってくる。俺が普通の高校生ならば理性が象に踏まれる蟻のように潰れただろう。
だがしかし。俺の精神を舐め――
「と、トリックオアトリート! み、未来さん! お、お菓子くれなきゃ……イタズラしちゃいますよ?」
「ウッ」
え? 何この可愛い生き物。え? 何?
あ、彩夏だ。天使かと思った。
「……みーちゃん。それ言葉にはしないでよ?」
「心を読むな。……というか彩夏」
「は、ひゃい! ……に、似合ってませんでした?」
彩夏は猫耳に猫しっぽを付けて……マイクロなビキニにマントで登場してきた。
「ドチャクソエッチだが???」
そ、そんな格好だと風邪引くぞ
「み略」
「略しすぎだ。現代っ子か」
「あ、ありがとうございます……そ、それで。未来さん。お菓子は……」
…………もしここで渡さなければ何をされるのか非常に。非常に気になるが。
「は、はい。お菓子だ」
「……! やった」
お菓子で子供のように喜ぶ彩夏。控えめに言ってくっそ可愛い。天使。
「みーちゃん! 私達と対応が違う! 怒ったら孕ませという名のイタズラするよ!」
「怖えよ」
「あ、もうみんな来てる。未来くん、トリックオアトリート!」
そして。続々と部屋に人が入ってくる。
まず星。星は魔女の帽子とローブを着ている。髪の色等も相まってなかなか似合っている。……ただ。めちゃくちゃ体のラインが浮き出ている。はちゃめちゃにセクシーだ。
続いて入ってきたのは――アッ。
「トリックオアトリートですよぉ! お菓子をくれなきゃ一緒におやすみタイムですぅ!」
「トリックオアトリート! ……ちょ、ちょっと恥ずかしいさー」
……一瞬意識が飛びかけたが。瑠樹と沙良である。
瑠樹は狐耳としっぽを付けたアッ。その上マイクロなビキニにマント。沙良は犬耳に犬しっぽでマイクロなビキニにマントウッ。
そこに彩夏が加わると。あーこれやばい。テレビでは絶対見られないアレがそれしてアッ。
最後は――
「ちょ、これ、やっぱ恥ずかし……いって」
「えー? よく似合ってるよ、ほら、未来君に言わないと。トリックオアトリート!」
「と、トリックオア……トリート」
静と咲である。二人の格好は……
牛柄のビキニであエッッゥ!?
エッッゥ?
……一回落ち着こう。
二人は牛柄のビキニを着ている。しかもかなり小さい。というか露出している部分のみで言えば零や新と変わらない。
しかし……こう。二人は良い意味で他の人と違うから。
凄く新鮮なドスケベである。新鮮なドスケベってなんだよ。いや、他の人が劣っている等は微塵も思っていないのだが。
と、とりあえず。お菓子を配っていこう。
星から順に飴やらなんやらを配っていく。そうして配り終えると……零がニコリと笑いかけてきた。
「じゃあ次はみーちゃんの番だよ。ほら、言って言って」
「ん? ……ああ。トリックオアトリート」
俺がそう言うと。流れるように――
俺は押し倒させられた。
「へ?」
何が起こった?
今。俺の目の前には仰向けの零が居る。しかもかなり距離が近く、その豊満な胸などもめちゃくちゃ主張している。
てか仰向けの乳やばい。重力でぷるんぷるんしてる。
「ほら、みーちゃん。私お菓子持ってないから。イタズラ、しよ?」
「お、おま……」
そのまま零が俺の手を胸へと誘導してくる。相変わらず柔らかっ!
「ほらほらみーちゃん。もみもみしよ?」
「やめて! 理性がゴリゴリやられてるから!」
「ぐりぐり」
「膝でぐりぐりしないで!」
そうして。数分拘束された後に俺は解放され――
「次は私だよ! お兄ちゃん!」
なかった。
その後も彩夏達にもイタズラをしてと似たような事をされ。
無事俺の理性はお亡くなり寸前まで行ったのだった。
これが毎年続くのかと考えると思わず頬が引き攣りそうになったが。
こうした騒がしいハロウィンも悪くないなと俺は笑ったのだった。