江古田煩人

鉋はどんなものでもうまく調理して食わせた。 昭和の香りが漂う文体で送る、貧しい暮らしの中で食卓を共にした二人のささやかな短編。

雑営団地の工業棟に店を構えるハッカーの電脳。ある日突然彼の元を訪ねてきたのは、久しく姿を見せていない相棒の姿だった。 SCALY FOOTシリーズ短編「探偵は縛られない」スピンオ…

今日はなんだかとってもヘンな日。外はおおさわぎだし、テレビは映らないし、ママはどろどろのジェリーになっちゃった。でも僕はいい子だから、こんなヘンテコな日でもきちんと学校に向かうん…

美味いものに目がない、と人は言うが、その実私は「見慣れない食い物」に対してとことん意地汚いだけなのである——。
 腹から餌を溶かし飲む魚、貘人の夢料理、田舎から送られてくる妖精の…

豪華宇宙客船の船倉にひそむ、二体のアンドロイド。自分たちを使役し続けた人間への復讐のため、彼らはささやかな強盗計画を企てるが……。 空き時間にさっくり読める、エセ海外SF和訳短編！

ガラ通りに居を構える奏上師、連雀ヒエイ。邪気払いを生業とする彼が遭遇したのは、なじみの豆腐屋に取り憑いた怪異だった。 除霊も仕事の一環？SCALY FOOTの世界観のもとで淡々と…

濡れたミルクレープの生地はブラウスから覗く彼女の白い肌に似ていた。夜勤明けの丹本自警団がたむろする、少しだけ特殊な深夜営業のパーラー。ひりつくような憩いのときを、あなたにもお裾分…

死んだ男が運ばれていったのは、カウンター奥にある小部屋だった。 金の代わりに人間の血を賭ける「賭け酒屋」。店主の津田と雇われ雑医の峨嵋刺が裏でひそかに手がける仕事とは……。 「S…

一次創作「SCALY FOOT」の登場人物である互藤はすみの手記を通じて、「SCALY FOOT」のメインキャラである互藤はすみ、宇佐見、御朱門いなほのプロフィールをご紹介。これ…

ある日、「俺」は錯感商店街で偽犬の養殖業を営んでいる久高の元を訪ねる。久しぶりの来訪に話が弾む様子の久高だったが、「俺」にはある目的があった……。 「俺」が残した手記を通して、独…

龍の高座：雑営団地、風俗棟の片隅で大道芸人の剣崎は今日も艶話を語る。最後があんまりだって？そりゃあいつもの事だから仕方ないよ。 久遠川の留子橋：冷房もろくにないこの街では、怪談…

昭和の終わり頃、山間の小さな集落で暮らしていた少年は森の中で「ふくら」と呼ばれる奇妙な建物を目にする。そこに住んでいる不思議な少年は、非常に美しい姿をしていたが……。 レトロ文体…

企画「文芸意見交換会」のために書き下ろした極短編。 テーマ「共鳴」をもとに書いた一編です。

ガラ通りで奏上師を営む連雀ヒエイ。人ならざるものに祈りを捧げるという仕事柄、妙なものに目をつけられるのはよくあることらしい。朝飯の豆腐を買いに出掛けた彼を見とがめたのは、なじみの…

ガラ通りからほど近い緩慢寺には、一本の大きな桜が植わっている。奏上師である連雀ヒエイは、むせかえるような桜の匂いに何かよからぬものを感じるのだが…。

簡単に飼えて金になる、との甘い文句に誘われて凶暴な食用蛭を飼い始めた「俺」。半年後に様子を見てみると、蛭を放り込んだはずの地下倉庫には大きな穴が空いていて…。 独特の世界観で展開…

現代日本とは少し異なる歴史をたどった平行世界、「丹本」。ヤクザ稼業で糊口をしのぐ探偵事務所に突如舞い込んだ依頼は、空き家の掃除という実につまらないものだったが……。