「つまり、今日は…無理なんですね」
「はい…」
僕の言葉に、電話口の向こう、メーカーに勤める彼女は悲しそうにそう答えた。
はぁ。仕方ないか。
あ、そうだ。
さっきムキムキ君から聞いたんだった。
「あの、室外機の底? に丸い穴があって」
「はぁ…穴、ですか?」
「おそらく水抜き用のホースを取り付る穴かと」
「…ホース…? 穴? ああ…それが…」
「壁面に配管は既にあって、おそらくそれと室外機を繋ぐホースが、取り替え後には無くて。このままでは下に水が…」
2階相当の高さの壁面に、以前と同じように室外機は設置された。
下から見上げたら、以前あったものがない。
蛇腹みたいなホースだ。
「配管はどのような?」
「……どの…ような? えっと…ん? 配管?」
「ええ、配管です」
所在なく上を向いた状態だけども、どのような? なんて言えばいいのか。
「…なんか寂しそうにホースが来るのを待っている状態といいますか…」
何言ってんだ、僕は。
「…ふふ。もう一度お願いできますか?」
「あ、えっと…わずか30センチ程を繋ぐホースが無くて」
「無くて。配管は…?」
「配管は……まるで親鳥を待つ口を開けたヒナのように上を向いているというか──」
「ドレインホースですね。そちらも担当に伝えておきます」
「あれ?」
「何か?」
「い、いいえ」
話途中で遮られたし。
なんでもっかい言わせたし。
そんなにボキャブラリーなんてないよ!
「……あ、あの! いつ頃になりますか?」
「七日ですね」
イマココ。
あっツゥうい〜