(付き合った後のお話です)
2月14日。
又の名を『バレンタイン』。
それはリア充にとっては充実した1日。
非リアにはリア充との差を明確に突きつけられる1日。
教室の男子達は何処か落ち着かない様子で辺りをキョロキョロしていた。
勿論俺も。
いやだってさ、今日何故か2人とも一緒に行けなかったんだよ。
もうそんなん絶対チョコ作ってくれてるやん。
そんなことを思っていると……。
「ん、何でそんなにソワソワしてる?」
「んぇっ!? い、いや、べ、別にソワソワなんか1ミリもしてないし?」
「私から見てもソワソワしてたよ、瑛太君」
「そ、そんなわけないじゃないかー。あははー」
アカン、バレてもーた。
ソワソワし過ぎて全く接近に気付かんかったんだけど。
我が教室に柚がやって来ていた。
いや、その後ろには芽衣もいる。
こんな日と言うこともあり、クラスの男子達がどよめく。
小声で「わ、ワンチャンあるか!? お2人からのチョコレート……!」や「こ、これは来たんちゃいますか?」などと浮かれている。
ごめん、めっちゃ聞こえてるんだよね。
それに一才2人が反応しない時点で察そうぜ。
い、一応俺は2人と付き合ってるのであると思いたい。
いや、お願いします、芽衣様、柚様……!
「と、ところで2人はどうして教室に……?」
俺は恐る恐る訊く。
此処で「チョコくれるんですかね?」とかいうバレンタインの話をして、仮になかった時が悲し過ぎるので訊かない。
そんなビクビクとしている俺に、柚と芽衣が柔らかな笑みを浮かべる。
「ん、これを渡しに来た」
「私と柚ちゃんとで作ったんだよ?」
そう言って渡されるのは、ラッピングの違う2つのチョコレート。
俺はそれを震える手で受け取る。
しかしそこで、柚と芽衣が更に言葉を重ねる様に口を開く。
「ん、勿論これは本命」
「大好きだよ、瑛太君」
「ありがとうございます本当に本当にありがとうございます、芽衣様、柚様!!」
俺は泣きながらお礼を言った。
何か愛情を感じられて、とても美味しかったです。
(了)
作者もこんなバレンタインを送りたい人生だった。
因みに今年は2年連続安定のゼロです。
はい、虚しいね。