知らぬ間にフォロワーさんが増えて900人に到達したつきちゃんです。
本当にありがとうございます……!
過去作も読んでいただけているようでありがたくもあり、尻切れトンボになってしまっている話が多くて申し訳なさはありますがね……。
流石にそろそろ何か出さなければという圧を感じています。
一応準備はしているので……!
なので、試し読み的な形で新作予定の一話を載せておきたいと思います。
まだ書き溜めが多くないので連載開始は月末にできたらいいかなあ、くらいの感覚ですが。
内容としては
・一対多現代ラブコメ(ヒロイン三人予定)
・エロ薄め
です。
本当にいけんのか……?って感じはしますが、まあやってみようの精神です。
というわけで今後とも応援よろしくお願いします……!
見捨てないで……!
スピキデルジバゼヨ!!
―――
一話
突然だが、俺――鷹司奏が通う昴ヶ丘高校の二年三組には、三人の美少女がいる。
一人目は那瀬月乃。
黒髪ロングのクールビューティーで成績も良好、さらには運動神経も抜群という文武両道を体現する女子生徒だ。
しかしながら特定の生徒と交流を持つことは少なく、一人で静かに過ごしているのを見かけることも多い。
そんな那瀬は高嶺の華として男子からの人気が高いものの、舌鋒鋭い毒舌によって同級生のみならず先輩後輩含めて二桁人も沈めているのだとか。
……断られた人の何割かが新たな扉を開いたという噂も聞こえてくるのがなお怖い。
二人目は水﨑和香奈。
明るい茶髪をボブで揃えた、ほんわかとした雰囲気の女子生徒だ。
特に特徴的なのは主張が激しい大きな胸だろうか。
彼女が動けば胸が否応なしに揺れるため、男子の視線をほしいままにしている。
本人も気づいているらしく、あんまりじっくり見ていると「めっ」されるらしい。
それすらご褒美になっている気がしないでもないが……俺がとやかく言うことではないだろう。
三人目は瑠璃園初。
女子平均よりも一回り小柄で、何を考えているのか読めない女子生徒だ。
癖のあるミルクティー色の長髪も相まって小動物っぽさがあり、主に女子からはマスコットのような扱いを受けていた。
休み時間に餌付けされている姿も頻繁に目撃される。
しかしながら自我はむしろ濃く、人によっては傲慢とも取れる態度と言動ながら、不思議と人を不快にさせることはない。
家が国内有数の有名企業の社長をやっていて超裕福だから、蝶よ花よと育てられてきたのだろう。
以上がクラスにおける女子カーストの最上位に君臨する三人の情報であり、男子生徒Aとしてモブらしい学園生活を楽しんでいた俺とは関わることのない人間。
そう、思っていたんだが。
「……鷹司くん、また女の子が出てくるゲームをしているの? やっぱりどうしようもない変態ね。今すぐ去勢した方がいいわ」
朝のHR前。
暇な時間にソシャゲのガチャでも回そうかとスマホの画面へ視線を落としていた俺へ、右隣から冷ややかな声がかかる。
声の主は那瀬月乃。
非の付け所がない優等生サマだ。
無視しようかとも考えたが、実力行使に出られても困る。
俺は平和主義者なんでね。
「人聞きが悪いことを言うな。俺は断じて変態じゃない。健全なソシャゲでも女キャラは付き物なんだ。売上的に」
「ゲームが悪いとは言っていないわ。いつも女の子ばかりのチームを作ってゲームを楽しんで……いえ、女の子を視姦することに注力しているでしょう?」
「那瀬の中の俺はどんだけアレなんだよ」
ゲームで視姦だなんて大袈裟な。
……精々どんなパンツ履いてるのかなとローアングルで確かめたり、谷間にカメラをズームインするくらいで。
これは想定された遊び方だ!! 俺は悪くない!!
言葉にするとさらに棘を刺されるので内心だけで反論しつつ、ガチャの画面を開く。
ピックアップは最近追加されたキャラ。
どうやら最新コンテンツで人権キャラ認定されているらしく、性能厨の俺としては是非とも確保しておきたい。
「おはようございます、鷹司さん。何してるんですか?」
今度は通路を挟んだ左隣から朗らかな挨拶が投げかけられる。
水﨑和香奈は俺のようなじめじめとした石の下に潜んでいる虫みたいな男にも明るく接してくれる女神のような存在だ。
那瀬に傷つけられた心が癒される……いや別に傷ついてはいないけどさ。
「おはよう、水﨑。今からひりつくガチャ大会をしようと思ってな」
「当たるといいですね」
「ほんとにな。課金はそんなにしたくないし……というか、今日も店を手伝ってきたのか? 甘い小豆の匂いがする」
「わかります? 小豆の匂いがする女子高生ってどうなのかなあって思うんですけど、わたしは結構好きなんですよね」
「俺も好きだぞ。なんか落ち着くし」
水﨑の家は老舗の和菓子店を経営している。
そのため店の手伝いをすることがあるらしく、今日のように小豆の甘い匂いを纏わせていることが多い。
俺も水﨑和菓子店の水ようかんが好きで、何度も買いに行っている。
まさかその娘さんと同じクラスになるとは思わなかったが。
「かなかな、早く引いて」
肩に何者かの手が乗せられ、急かす言葉が淡泊な声音で耳元で囁かれる。
思わず背筋にぞわっとしたものが走るも、動揺は覆い隠す。
「瑠璃園、耳元で囁くなって……あんまりそういうことされると勘違いするんだからな。人生=彼女なしの男はちょろいんだぞ」
「初、悪女の才能あり?」
「悪いが色気が絶望的に足りない」
「酷い。貧乳にも需要はあるし、生足絶対領域も兼ね備えた初の魅力に本当はかなかなもメロメロなくせに」
「俺のどこがメロついてんだよ……」
そういう絶妙に残念なところは可愛げがあるな、とは思うけどもさ。
あくまで観賞用の可愛さなんだよな。
「それより早くガチャ引いて」
「瑠璃園は引いたのか?」
「ん。ちゃんと完凸した」
「金持ちがよぉ……!」
「途中で三枚抜きしたから楽だった」
「運だけじゃねえかクソが!!」
世の中不平等が過ぎると思うんだ。
天は二物を与えずなんてことわざがあるけど、二物どころか三物四物貰っている人も珍しくない。
……まあ、これは俺が言えたことでもないか。
才能の無駄遣いを自覚する身としては耳の痛い話だ。
「それよりこのキャラ、つきのんに似てるよね」
相も変わらず瑠璃園が背後から手を伸ばして画面を指さす。
「確かにそうかもしれませんね。黒髪ロングの綺麗系ですし」
「……まさか私のことも変な目で見てるの?」
「飛躍し過ぎだ本当に偶然だし俺は性能でこのキャラを引こうと――」
「性的な能力でも性能と読める」
「さりげなく着火するのやめません??」
那瀬には「最低」と冷たくあしらわれ、慰めてくる水﨑に癒され、早く引けと背中をつついて急かしてくる瑠璃園の額へノールックでデコピンをお見舞い。
あうっ、と可愛らしい悲鳴を聞きながら、随分と騒がしくなったものだと思う。
一年生の頃は三人とも別のクラスだったから静かだった。
二年生への進級時にクラス替えがあり、三人と同じクラスになったまではいいとしよう。
だが、どうして三人に席を囲まれることになるのか。
右は那瀬、左に水﨑、後ろには瑠璃園。
おまけに俺は最前列で、目の前は教壇で塞がれている。
折角目立たずに高校生活を送れると思っていたのに、向こうから絡んでこられたら逃げられない。
俺は薔薇色の青春を求めない。
手に入らないものを切望するほど虚しいことはないのだから。
希望的観測を捨てて現実に向き合い、ささやかな幸せを得る。
それでいいじゃないか。
「お、星5演出」
「どうせ外れよ」
「当たるといいですね」
「すーりぬけっ、すーりぬけっ」
味方をしてくれる水﨑によって多数決は五分。
後は俺の運次第。
結果は、果たして。
「は~~~~クソガチャがよぉ……!」
現実はいつもままならないらしい。