• 異世界ファンタジー

単なる日記。

 土曜日の昼過ぎ。
 前日の飲み会で、自分は思っていたよりアルコールに弱いかもしれない、と帰納法で自らその結論に辿り着いてしまい、なぜか悔しい思いをした。さらに、少ない飲み会経験ながら定めていた、”気持ち悪くなるライン”を、食事側を考慮していなかったせいで想定外に胃に来ていた不快感は完全になくなり、のんびりと昼までの時間を過ごしていた。
 PCに向かい、小説編集のページを開きながらも、動画サイトやSNSを見ていると、左から入って来る日光が気になった。昼飯を食べている頃だったか、短い間、雨が降っていたこともあり、ああ、天気回復したんだなあとぼけーっ、と考える。
 あ、そういえば、日光に当たったほうが良いと、色んな場所で聞いたことを思い出し、窓を開ける。ひんやりした空気と、太陽の眩しさを同時に感じた。半袖長ズボンというスタイルだったので、割と寒かったが、不思議といい気分にもなった。
 ふと、仕事用鞄に眠っている、文庫版陰陽師が、最後の話を残して放ってあることを思い出し、なんとなくこの空気を感じながら読みたくなった。俺はベッドの上に投げっぱなしの黒いノートPC用のバッグから、折れた跡の付いた表紙の陰陽師を取り出し、しおりを目安にページを開きつつ、窓際でベランダに足を出しながら座った。
 下を向いていれば、眩しいというよりは明るい、といった程度のぽかぽかとした日光だった。とはいえ、やはり寒い。しかし、この寒さを感じていたいと、頑なに服を重ねることはしなかった。
 読んでいると、内容に既視感を覚えた。もしかして以前の俺が、最後の内容が気になって後ろから読んだのかもしれない、と先の展開を予想し、悉くを的中させながら読む。
 多分、10分程度の読書時間だったと思う。
 あとがきもちらりと読み、書くことにここまで熱中しているのか、俺も見習わないと、とモチベーションを高めつつ、本を閉じた。
 そして本から目線を切ると、その時初めて、太陽が雲に隠れていることに気が付いた。どうやら本の内容と、肌寒い気候ばかりに意識が集まっていて、日光の変化に一切気が付いていなかったらしい。

 ――なーんか、いい休日だなあ、とひとりごちて、この日記を書いている。よーし、今からおやつの時間、午後三時だし、コンビニになんか買ってきて、夕飯まで書くか。

 おしまい。

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