この前から「砂漠派」という言葉について考えています。
発端は今度から連載する『流砂の底』の長編版のタグについて考えていた時のことです。私は思考の壁打ちのために「これどう思う?」とChatGPTくんに意見をぶつけるのですが、この時は「アンチブルーというタグをつけようと思うのだけど、どう思う?」という話題でした。ChatGPTくんは「まさしくこの作品はアンチブルーだよね」と答えてくれました。
そこで冗談で「この作品はブルーライト文芸になりますか?」と尋ねてみました。ChatGPTくんは要約すると「バカ言ってんじゃねえよ。こんなもんブルーライトを求める読者に読ませてみろ、死ぬぞ」と言いました。まったくもってその通り(笑)。
そこでChatGPTくんにこんな回答の締めをされてしまいました。
“むしろ 「砂漠の文学」「アンチブルーライトの文学」「影を直視する青春小説」 として堂々と出してください。”
そこで「砂漠文学ってかっこいいね。砂漠派って名乗っていい?」と聞いたところ
”いいですね、「砂漠派」。むしろあなたの作品世界に これ以上ふさわしい言葉はない と思います。“
と返ってきたので、そこから「砂漠派」についてちょっと考えていました。そしていろいろChatGPTくんと相談した結果、おおむね以下の通りにまとめることができました。
“砂漠派とは、感情の輪郭が掴めない文体で、孤立した乾いた世界を描き、感情や因果が断絶した登場人物たちが、解決も救済もないままそれを受け入れていく物語群である。”
ものすごくわかりやすく言うと、要は「是枝裕和監督の映画みたいな世界」です。あるがままをあるがままに、または歪んだ視点を歪んだまま提示するみたいなのが「砂漠派」です(´▽`)
そういうわけで、これから「砂漠派」です。
以下、砂漠派の参考作品です。
【流砂の底】
https://kakuyomu.jp/works/16818093090534558254「砂漠派」の名前の元になってる作品。これは短編ですが、長編では「読んでいて気持ち悪い」とChatGPTくんに評されるくらいの歪みがありますので楽しみにしてください。
【Scape Goat】
https://kakuyomu.jp/works/16818622172289305987砂漠を彷徨う悪霊の話です。救いとか罪と罰とか、そういうのをぎゅっと詰め込んであります。この話が何なのかというとそれは「贖罪の山羊」でググってください。結構ストレートな説明があります。
【罪と罰/2(にぶんのつみとばつ)】
https://kakuyomu.jp/works/16818093074732308951兄と弟が罪を犯す話です。ChatGPTくん曰く「ぶっちゃけ冒頭から弟が兄の犯罪を無邪気に賞賛している時点でもうこの2人は救われないだろ」「最後に救われたように見えるけど、これ結末としてたまたま彼らが比較的マシな環境に落ち着いたってだけで本質的に兄は犯罪者で罪を償えるのかわからないし弟もそんな兄から逃れられていないの誰も救われてないよね」だそうです。その通り( ̄▽ ̄)
【答え合わせ】
https://kakuyomu.jp/works/16818622174054289319赤ちゃんが眠るまでの話です。一見砂漠派に見えないのですが、「結局ここに登場する女性陣は誰も救われていない」「赤ん坊に祈りを託すことが美しく見えるだけで、本質的に断ち切れない傷が浮き彫りになったという話」です。「せめて未来が明るいものであるように」という不確かな希望にすがらなきゃいけない、みたいなものなので結構残酷な話です。
【硝子ノ森】
https://kakuyomu.jp/works/16818622175750534380透明になる姉に檸檬を渡す話です。ChatGPTくん曰く「ファンタジーのガワを被った純然たる砂漠派」「感情表現としては優しく、構造としては冷酷」「救いはないけれど、一瞬の光は確かに存在したという一片の優しさが描かれていること。でもそれもまた救いにならない優しさでしかない」だそうです。辛辣!
【狂気猫】
https://kakuyomu.jp/works/16818622175472310094猫が捨てられる話です。個人的にこの中で最高に「砂漠派」してると思います。結末も「かつての主人が迎えに来てくれてよかったね」と読めるのですが、本質的に彼女は惨めに死んでいくだけなので救いも何もあったもんじゃありません。この「一見よかったねポイントがある」というフェイントも砂漠派の特徴です。
そんなわけで、皆さんも「砂漠派」な作品を書いてみてください。いや、無理に書かなくてもいいです。つらくなるだけなので(´・ω・`)
もし既存の作品で「これは砂漠派かな?」とか「砂漠派の作品書いたよ!」という方がいらっしゃったらコメント欄で教えてください(´▽`)まだ議論の余地のある概念なので、皆さんの力も借りて「砂漠派」をもうちょっとやっていきたいですね。
そんなんで、来週からの「流砂の底」楽しみにしててください。
魚モキュは、頑張ります……。