一際高く、エキゾーストノートが空に吸い込まれ微足る振動が大気を震わせた後にエンジンを切る。
ヘルメットをミラーにかけた時に、声を掛けられた。タイミングを見計らっていたのだろうと推察される。
「おはよー」
確認せずとも、鼻腔に届けられる匂いで声の主が誰だか分かった。
だから、嫌そうな顔を作って、嫌味たらしく言ってやる。
「とうとう、ストーカーに成り下がったか」
「斬新な挨拶だねえ」
と、彩花は端正な顔を破顔させる。
知ってたよ。彩花に嫌味など通じない事は。伊達に廃校のプレハブで生活や路上で歌ってはいない。
「言っとくけど、風紀委員の活動ではないからね」
「そうであれば、どれだけ良かったか」
教員用に設けられた裏門に近い駐車スペースで、態とらしく嘆息してやるが何の効果もないのは百も承知だ。
「風紀委員ではないけど、今日から三ない運動を始めようと思ってね」
「三ない運動て、取らせない、買わせない、運転させない、だっけか? 余裕で破ってるんですけど」
「バイクじゃなくて、ラオウ三ない運動だよ。媚びない、退かない、顧みないってね」
何も言わず、マイナス二七三度の視線を送ってやる。寧ろ、顧みろよ。俺との別れを顧みろよ。
「って事だから、今日の昼休みはボクとご飯を食べようか。昨日、会ったところで」
「脈絡なさすぎじゃね?」
「んじゃ約束ねー」
彩花は難聴スキルを発動し、ひらひらと手を振りながら脱兎の如く走っていった。
その際にパンチラのオマケをつけて。
今日は赤だった事を付け加えておく
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さてさてカットした文章を載せてみました。
それによる本文の影響ほありません。
更新が遅れた理由としては
社畜らしく忙殺されておりました。
おまけに花粉と黄砂のクソにより頭も回らないというね……。
時間の無い中、業物語、結物語を読了。
面白かったです(小並)。