※ネタバレに注意してください。
生まれ持った勇者の使命を果たすべく王国に頼るも、何故か“悪魔の子”呼ばわりされ、投獄。故郷の村も焼き払われてしまいました。
村の現状を知る直前、主人公は亡き養祖父と対話し、こう言われます。
「人を恨んじゃいけないよ」
色々な意味で考えさせられる言葉です。
勿論、憎悪に憑かれて道を誤って欲しくないと言うのは、親心なのかも知れません。
本人は分別をつけているつもりでも、憎悪とは仇一人(やその仲間)だけに留まる事はほとんどありません。次に彼が加害者となる可能性も充分にあるでしょう。
しかし、仲間のカミュを除いた、縁ある人間全てを失った彼にとってはある意味で残酷な言葉でもあると思います。
憎しみが、どん底を生きる力になる事もあるからです。
私が養祖父の立場だったら、同じ事を言って縛る覚悟は出ないかも知れません。
もっとも、主人公の場合は勇者の使命と言う、気の持ちよう次第では前向きになれる動機もあったのですが。
改めて、一度クリアした余裕を持ってプレイすると、ここでカミュが居てくれて本当に良かったとも感じました。
彼は、別段慰めの言葉をかけてはきません。
ただ成り行きで側にいる立場から、村の惨状に「ひでぇ事をしやがる」と人として当たり前の憤りを見せ、また、「お前のじいさんが遺した言葉の通り先に進むぞ」と促すだけ。
スタッフが意識して、敢えて簡素な台詞だけにしたのかはわかりませんが、ベタベタ甘言を連ねなくても人は充分救われるものだと思いました。