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『そして錬金術師へ、無限の先の到達点を』PV感謝SS

*本編との時系列は考えていません。ご了承を。


深い深い森の中を、ダッと少年が駆け抜ける。
真紅の革鎧を身に纏った彼は、そのまま『奇跡』の術を行使して目の前の敵をぶった斬った。

切られた方から噴き出すのは血液ではない。
まるでグロテスク感を醸し出さないモザイク状の光。

そうして映し出される『quest clear』という文字。


「だぁぁ、また負けた、だと?」


オタクを自称する男、元いた世界では自他共に認めるそれだった進は、悔しげに声を上げた。

マジかよ、と唸るように呟きながら隣で勝利した人間を見やる。


「え、なんでそんなに強いの?」


急な真顔。
ゲーム如きにそこまで真剣に食いつく必要があるのか、と周りから問われそうな。

まぁ、そう問われれば「あるのだよ」と即答だろう。
なぜならば、オタクだから。


「普通にやってたらなんか勝てた、みたいな?」


進の質問に答えたのは、茶髪をゆらゆらと揺らす《風神》こと星見琴光だった。


「いやいや、普通にやってるだけで俺に勝てるって、どういうことなんだよ……。これでも、俺このゲームのランキングボードに載ってるんだよ?」


進の名誉を傷つけることにはなるが、光がこのゲームをやるのは数時間前が初である。

操作もおぼつかない状況から、数時間でここまでの上達。


「バケモンじゃねぇか……」
「何よ。別に《ウエポン》を使ってるわけでもないんだし……」


忘れてた、と進は嘆く。


「ちな、《ウエポン》使ったら、どんな動きができるの?」

「えーと、試してないから確実にできることだけ言うと」


————敵が入力をする方向を予測して、先行入力で回避できる、みたいな?


「チートじゃねぇか!」


さすがS級様。
チートなのは異能バトルだけではなかったようだ。

ちょっとフルダイブ型のVRMMOにでも閉じ込められてこい! 

なんて思ってしまう進だった。


後日。


「ちょ、進。そこはやめっ、いや待って待って、なんでそこで即死コンボ嵌めれるの!?」

「ハッハッハ。みことをしばくのは楽しいなぁ」


進の|敗北感の《ストレス》発散にこき使われるみことがいたという。



《了》

本編
https://kakuyomu.jp/works/16817330665672441821

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