VRMMOバースフロンティア。
VRMMOが珍しくなくなった頃、俺はそれを始めた。
ゲームは嫌いじゃない。
ただ、職業病が出てしまって純粋に楽しめないのだ。
俺の職業は零細企業のプログラマー。
だからプログラムで動いている物を見るとシステムがどうなっているのか想像してしまうのだ。
そしてバグを探してしまう。
よく、料理人が他の店へ食事に行って見破られるだろう。
あれは職業病で料理方法とか、調味料とか、食材を考えるからじゃないのかな。
そして改善点。要するに粗を探す。
その様子が見えるからじゃないのかな。
プログラマーも似たような事を考える。
システムと改善点をみるのだ。
俺はバグを探すのが上手いので、ゲームをするとついそれをしてしまう。
そして酷いバグを見つけると、ゲームする気がなくなる。
だからゲームはしなかった。
だが、会社を首になってしまった。
辞める時に揉めたのでこの業界で食っていく事は難しいだろう。
そこで俺はゲーマーになる事を決意した。
バグを見つけたら秘匿して荒稼ぎするのだ。
ゲーム内の通貨は売れる。
交換レートもゲーム会社が決めている。
合法なのだ。
いっちょ頑張りますか。
30万クレジットもするベッド型のVR筐体をアパートに搬入していざ勝負だ。
起動するとグリッド線の空間になった。
『キャラクターを設定する為に体のスキャンをします』そう音声が流れた。
俺はシェーのポーズをした。
とりあえずのバグ出しはここからだな。
スキャンが開始される。
おっ早速バグったぞ。
ノイズが入りまくる。
『読み取りエラー、容姿はランダムに設定されます』
成人男性の顔と体が表示される。
イケメンだな。
たぶんだが、平均値をとっているな。
何人かのデータをミックスして作ったのだろう。
そうすると美男美女になるとどこかで聞いた事がある。
『この容姿で良いですか?』
ウィと俺は答えた。
名前を決定して下さいとある。
指で文字を書いて、フォントを呼び出す。
㌔ ㍉と名前を入れた。
『ピーガガガでよろしいですか』と言われた。
おっバグったね。
ダーと俺は答えた。
職業を設定して下さいとある。
ファイター、ウィザード、プリースト、クラフトマン、ランダムこの5つから選ぶらしい。
予習も済ませている。
これは最初の職業で、上位職にクラスチェンジしていく。
ランダムだと最初から上位職が出たりするらしい。
上位職は成長が遅い。
だが強くなるスピードは速い。
大器晩成型だな。
もちろん俺はランダムを選ぶ。
その方がバグが出やすいからな。
『ランダムでよろしいですか?』
イェッサーと答えた。
『職業はプログラマーです』
何だってー。
おいおい、俺の元職業を見破られたのか。
まあいいや。
予習した上位職にもこの職業はなかった。
バグの出る可能性大だ。
『ではピーガガガ様、よい冒険を』
暗転して、街の広場に出た。
装備を確認してみる。
粗末な服以外には何も装備していない。
他の職業は何か持っていたはずだ。
プログラマーは無手なのか。
追記
名前の所ですが、文字化けするみたいですね。
どうするか考えますか。