🌸春日小町(かすが・こまち)という少女
こんにちは、三毛猫丸たまです🐾
今回は『この物件、小町につき。』に登場する
この物語の主役――春日小町(かすが・こまち)をご紹介します。
小町は、10歳ほどの小柄な少女。
金髪のボブに、青い瞳。
そして桃色のレトロな着物がよく似合います。
どこか“この世ならぬ”雰囲気をまといながらも、
その笑顔はやわらかく、見る人の心をそっとあたためてくれるような存在です。
彼女の正体は、売れない家に住みついた座敷童。
「呼ばれていない家」にふと現れ、
誰もいない部屋で静かに正座していたり、
押し入れの奥から顔をのぞかせたり――。
そんなふうに、
“ことばを失った家”に、もう一度ぬくもりを取り戻していきます。
物語の中で出会うのが、不動産営業の少女・椎名灯(しいな あかり)。
仕事として“売れない物件”を扱う灯と、そこに現れる小町。
ふたりの出会いをきっかけに、
空き家と人、過去と現在、孤独と再生――
さまざまな“つながり”が少しずつ紡がれていきます。
小町は無邪気で明るく、少しおっとり。
けれど、ときおり胸の奥を打つような言葉を静かに口にします。
一人称は「わらわ」。語尾には「〜なのよ♪」をつける、古風で可愛らしい口調が特徴です。
「……わらわ、忘れてなかったのよ。ちゃんと、覚えてたのよ……」
この言葉には、
“見えなくても、たしかにそこにある優しさ”を信じる、小町の想いを込めています。
春日小町は、ただの幽霊でも妖でもありません。
“人と場所の記憶”をつなぐ、小さな記憶の精のような存在です。
彼女が現れる場所には、
過去の声、残された想い、
そして、もう一度誰かに呼ばれることを待つ“家の心”が、静かに息づいています。
本編では、小町の存在が何なのかは明らかにしていません。
彼女がどのように見えるか、どんな存在として心に残るのか――
それは、読んでくださる方ひとりひとりに委ねています。
小町があなたにとって、
“懐かしい記憶のかけら”のように映るのか。
それとも、“優しいまぼろし”のように感じられるのか。
きっと、読む人の数だけ“小町”がいるのだと思います。
この作品を通して、
もしほんの少しでも、
忘れかけていた優しさや、誰かを想う気持ちを思い出していただけたなら――
それが、何よりもうれしいことです。
どうか小町という小さな少女が、
あなたの心のどこかに、そっと寄り添えますように。
📖 この物件、小町につき。 本編はこちら
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https://kakuyomu.jp/works/16818792435711648979