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「遠き潮騒/知床羅臼編」への感想


【登場人物と台詞】
裕一
知床の海のうねりが波打ち際に砕け散ると、怒号は無惨に泡となった。(地の文)

【話数 文字数】
連載中、5話 12000~

【具体的な想定読者】
ミステリ好き、30歳~女性6:男性4

・・・・・・

《感想 宜しくお願いします》

4件のコメント

  • 企画へのご参加ありがとうございます
    返信が大変遅くなり、申し訳ありません

     さて、早速レポートなのですが、長編作品のスピンオフ、かつ未完結の作品ということで、キャラクター性や物語構成についての言及は差し控えさせていただきます。
     あえて、構成について言うとすれば、ですが。日を置いて3度に渡り読んでみたのですが、どうにも、物語のテーマが見えてきません。素直に主人公の恋愛話と見ていいのでしょうか。
     この物語の最も語りたいものが何であるか、わからないままに物語がゆったりと進んでいるので、冒頭5,000字以内程度を目安に、作品を貫くテーマ性の提示があると良いかと思いました。
     既に提示がなされているのであれば、弱いかなという印象です。


    【文章について】

     全体を通して、文章は整っています。文意の理解に難儀することは、ほとんどありませんでした。
     一方で、少し言い回しに凝りすぎるきらいはあります。

     また、時折、読点を挟んだ一文の途中で、主語が交代することがあります。

     いつもは午後2時に終う港の食堂は、短い夏のあいだだけ漁師の為にと開けていた。
     →「開けられていた」か

     天然羅臼昆布漁は午前6時に一斉に始まり、終了は午前11時までと決められている。
     →午前11時を限りに終了する取り決めである。など

     主語の交代が気付きにくい文章は、読みやすさの助けとはなりませんので、気を付けた方がよろしいかと思います。


    【説明台詞について】

     本作は、情景描写に力が入れられており、読み手へと羅臼の風景をよく想起させます。
     同時に、風景描写が説明的になりがちです。
     地の文で説明過多になる場合、登場人物の五感に準じた描写を最優先に描くと意識するのも一つの手です。

     そして、台詞。

    「お婆ちゃん、この白い箱はなに」

     直前に、白い箱の提示がなされているので、情報が重複しています。また、二人が目の前に共有しているものを、改めて「この白い箱」と言うか、と違和感を覚えます。

     そのため、台詞に入る前の地の文を続けて、「彩美が箱を眺めながら尋ねた」というように変更した方が、違和感がないかと思いました。


    【心情の抜き書きについて】

    (わたしはいいのにな……)

     こういうのは、惜しいです。率直すぎます。地の文にて、恥じらいとか寂しさとかを描写した方が、本作の雰囲気には合っています。


    【情報の後出しについて】

     ただあの日、配達業者が予約の昆布を取りに来た25日。業者とのやり取りを倉庫の窓から見つめる彩美の顔付きが、いつもと違う印象を受けたのを思い出した。

     後出しはずるいです。そのときに、何かしらの描写を入れておいてください。



     まとまりに欠けますが、以上です。
     ご当地小説とも言うべき、舞台特有の風土やら産業をベースにした本作は、私自身が北海道へ渡ったことがないために、読んでいて大変興味深く思いました。

    ありがとうございました
  • はじめまして。
    率直な感想をありがとうございます。勉強になります。
    本編は、「遠き潮騒/横浜~北海道編」と合わせてひとつの小説となります。当初、「終天の朔」という長編ミステリーのスピンオフとして執筆を始めた「新見啓一郎の事件簿/遠き潮騒」ですが、読者様の要望により、同時期に進行する二つの地での物語を、別々の作品として描いた次第です。ラストはひとつ……これがどう繋がって行くのかという、試験的な作風となっています。
  • 追記

     ただあの日、配達業者が予約の昆布を取りに来た25日。業者とのやり取りを倉庫の窓から見つめる彩美の顔付きが、いつもと違う印象を受けたのを思い出した。

    の描写について後出しとありますが、仲買人との会話の中で提示してあります。(仲買人の彩美を見た時の描写と25日の件です)
    物語の流れとしてはおかしくないかと……。
  • こんにちは
    追記に対しての返信です

     こちらの描写に関しては、「業者とのやり取りを倉庫の窓から見つめる彩美」の表情が如何なるものであったか、読み手には提示なされていない、との意味でした。

     業者の卸予約→海→25日当日

     シーンの流れは、こうですよね。
     彩美の不安は海のシーンの終わりに示されていますが、業者の顔を見たときの描写はありません。

     全てを描く必要はないのですが、物語展開の「理由」を支える心理描写は、なるべくその時に行う方が良いのではと指摘させていただきました。

     読み手への「引っ掛かり」を作り、物語展開が「引っ掛かり」への「納得」を与えられるからです。

     今のままでも、ストーリーの筋道に問題はありませんが、さらに一段、ストーリーに説得力を持たせるための一手です。
     まあ、好みの問題、字数制限の問題、色々ありますし、さほど優先されるべき点でもないとは思いますが。


    それでは、再び失礼いたしました
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