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小説なので誇張したつもりでしたが…

 気ままに綴った小説ですので、日本の司法の問題点については、やや誇張したつもりでした。ですが、袴田事件の裁判で認められたこと、を事実として受け入れた場合、あながちここで書いたことは、誇張ではないのかもしれない、と思うようになりました。

 取り調べ中の拷問は、これまでも指摘されてきました。ですが、証拠の捏造については、とても出来心でやってしまった、というレベルではないのです。華麗ともいうべく、見事なプロフェッショナルの仕事です。

 まず、衣服を用意するのは、そこまで苦労しないでしょう。ですが、捏造に必要な大量の血液は、どうやって調達したのでしょう。とても一人二人の”有志”で賄える、血液の量ではありません。被害者の血液型に合わせて、何十人も有志を募り血液を集めたのでしょうか?あるいは、一部ネットで囁かれているように、当時の暴力団が牛耳っていた売血組織から調達したのでしょうか?

 次に警察は手際よく、袴田さんの御実家にズボンの裾の切れ端を仕込んでいます。ただ、この仕込み捜査に必要な捜索令状や押収令状など細々とした司法文書を裁判所に申請できるのは、警視以上の上級警察官です。少なくとも、当時の清水署の署長、あるいはそれ以上の県警高官が捏造の総指揮をとっていたと考えるべきでしょう。

 また、判決では警察と検察が緊密な連携を保ち、二人三脚で証拠の捏造がおこなわれたと、はっきり認定されました。日本の官庁は縦割りで、災害時など連携が必要な時にも、縄張り争いや足の引っ張り合いをしがちです。それが、こんな時に限って”完璧で理想的な省庁間の連携”がなされるとは、なんという皮肉でしょう。これも日頃からの”積み重ね”がなせるわざなのでしょうか。

 袴田事件が特殊な不祥事だったのでしょうか?私は、少なくとも当時の静岡県警は証拠捏造のプロフェッショナル集団だった、と考えています。はたして、それは昔の話なのでしょうか。あるいは静岡県警に限った話だったのでしょうか?

 いつ自分が、身に覚えのない罪で死刑台へと引きずられていくのか?あなたやあたなたの愛する人には、こんなことは絶対に起こりえないと言い切れるのか…少なくとも私は、今一度、心底恐怖しました。

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