あんな番外篇を書いておいて何なのですが、実は現実の米軍は米国内では珍しくメートル法が広く使われている組織だったりします。
NATOスタンダードではメートル法を使うことを義務付けておりますので、米軍の銃砲火器類は全てメートル法で制式化されておりまして、だからこそ.223インチ口径のライフル銃だって5.56mmと刻印されるわけです。距離なんかもメートル法でしてキロメートルのことを「klick」なんて俗語で呼んでたり。
でもNATOは戦後できた組織じゃん?と思うかも知れませんが、実はそれ以前から米軍はメートル法を使っていました。
時は第一次世界大戦まで遡り、この世界初の世界大戦に参加した米陸軍は、十分な性能の野戦砲を持っておらず、当時最先端であったフランスのM1897 75mm野砲を大量購入して配備しました(後にはライセンス生産も)。当然フランス製ですから、砲術もメートル法です。フランスから教官を招いて教育するにも、測距儀やコリメータといった周辺装備も全部メートル法です。当然メートル法で教育を受けた砲兵はメートル法で戦います。誤爆されたくない友軍はメートル法を使って距離を伝えます。どうせ欧州は地図も全部メートル法です。
結局終戦まで国産野砲を配備できなかった米陸軍ではそれ以降砲兵を中心にメートル法が基本となってしまい、一般社会とは別にメートル法が通用するようになってしまったのでしたとさ。
米軍が出てくる戦争映画で、戦闘中はメートル法で距離を伝えている作品は考証がしっかりした作品ということになるわけです。
さて、米軍がメートル法なのは良いとして、ではどうしてT24はあのようなザマになるのでしょうか。
それは製造現場の方がメートル法化されていないからでありまして……。なんだよ1/400inchのマイクロメータとか人舐めてんのか……。