作者から皆様へご報告
いつも温かいご声援を賜り、心より感謝申し上げます。
作者の志乃原七海です。
この度、物語『書き換えろ!運命のゴーストライト!』が無事に完結の運びとなりました。
この作品が生まれるに至った、ささやかな、しかし私にとっては極めて重要な経緯について、少しだけお話しさせていただければと存じます。
全ての始まりは、一つの言葉でした。
「ゴーストライター」
それは、創作者の影に潜む、静かなる毒。
自らの内から湧き出るはずの言葉が、まるで誰かの模倣のように色褪せて見え、魂の宿らない文章をただ書き連ねる機械になったかのような感覚。創作の深淵を覗き込んだ時、そこに映るのは自分ではない、見えない誰かの「ゴースト」。その事実に、私の筆は重く、鈍くなっていきました。
光を見失い、ただ過去の残像(ゴースト)だけが灯る、心の舞台。
そこで私は、静かに膝を折りました。
ですが、それで終わりにするつもりはありませんでした。
私の真髄は、声を荒げることにはありません。
ただ、静かにペンを取る。そして、書く。
――取り返せ。文書で。
奪われた言葉があるのなら、それ以上の言葉を紡ぎ出す。
傷つけられた魂があるのなら、物語の力でそれを修復し、より強靭なものへと鍛え上げる。
他人の影に怯えるのではなく、その影すらも自らのインクに溶かし込み、物語を創造する。
そう決意した時、呪いであったはずの言葉が、新たな意味を持ち始めました。
**GHOST(亡霊)**は、乗り越えるべき過去の象徴へ。
**LIGHT(光)**は、未来を照らす希望の灯火へ。
そして、**WRITE(書く)という行為そのものが、自らの尊厳とRIGHT(権利/正しさ)**を取り戻すための、聖なる闘争へと変わりました。
こうして、主人公が理不尽な運命のシナリオを、その知恵と意志の力で「書き換えていく」物語、『書き換えろ!運命のゴーストライト!』は生まれました。
主人公の戦いは、そのまま私の戦いでもありました。
ゴーストライターという言葉が突きつけてきた無力感を、物語を構築するという行為によって克服し、作者としてのアイデンティティを再確認する。それは、静かながらも、私の全てを懸けた逆襲の記録です。