猫の見える風景

晴れ。

『うちの猫はタマという』




うちの猫はタマという。


タマと言えば猫。

猫はタマなのだ。


どこにでもいる

茶色と白の雑種猫。

キリリとした目付きで

一見クール。

その実、

人懐っこくて

とても愛想のいいヤツフレンドリー

撫でるとゴロゴロ。

ふんわりスベスベ気持ちいい。





田畑と山に囲まれた田舎町。

ほどほどを通り越して

THE田舎。

スーパー長閑のどかな風景だ。


犬や猫より

牛や野生動物の方が多かった。

人間が一番少ないんじゃないだろうか。


時間の流れが

それはそれは緩やかな。

事件といえば牛の難産、くらい。




我が家の猫さま、タマ。

当たり前の

猫らしい猫。

毎日当たり前の猫らしく、

パトロールという名の散歩に出かけていた。




タマのパトロール範囲が

どのくらいなのか

ハッキリと把握してはいない。

近所の牛舎や鶏舎には

遊びに行っていたのは知っている。





「うちの牛たちが いつも楽しみにしてるんだよ」


「おかげで タマゴも多くてね」


タマは、

ご近所の

牛や鶏とも

仲良しだったようで。


飼い主たちにも評判が良い。

よく

お礼だと言って

なにかしら頂いていた。


その中でも 特に多かった物ー

ポテトチップスだった。



最初のうちは 

自分の大好きなポテチを

たくさん貰って

ただただ喜んでいた。



だが、タマの話をする近隣の人々は 全員ポテチ。


ーポテチ?


まさかねー。

でも。

・・・もしや!?



学校から帰ると タマは不在。

これはいつものことだ。

試してみることにした。





「タマー!」


「にゃんっ」


外に向かって名前を呼んでみる。

今日は隣の牛舎だった。

大きな返事が返ってきた。



「タマー!ポテチ食べようー!」


バリッ。

ポテチの袋を庭先で開けた・・・!



「ニャー!!」



ザザザッ!


それなりの広さがあるはずの牧草地。


タマは一瞬で駆け抜けて足元に来た。



「にゃーにゃーにゃー」


 ぐるぐるぐるる。



「にゃう~ん」


ぐるぐるぐるぐるぐる。


足元に巻き付いてくるタマ。

いつもより、

甘え方が熱く激しい。




タマの皿に数枚ポテチを取る。

縁側に腰かけて、仲良くポテチを食べた。



夢中でポテチを食べるタマ。

実に美味そう。


タマはポテチを

遊びにいった先で貰ったのだろう。

近隣の人々の方がよく知っていた。


飼い主としては

少々妬ける。

みんなに可愛がってもらっているタマ。

それはそれで気分はいい。



塩分過多には気を付けよう。


また一緒に

ポテチを食べよう。







  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

猫の見える風景 晴れ。 @Nirvana852

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

同じコレクションの次の小説