そこは、此岸と彼岸を分つ陌間の地。仟年、若しくはそれ以上の悠久の時を、只々『護』と『蔵置』の為に存在する寺の、血の繋がらぬ父子。或いは、師と弟子。そして、否見、否言、否聞の存在。日常には非る日々と、それに相反する温かな日常が、叙情的な文体で描かれる。恐怖、そして不安さえもが美しく心に迫り来るこのシリーズは、是非とも全て読まれる事を願う。 きっと、全て読み終えるまで書庫からは出られないけれども。
詩のような独特の文体が恐怖をあおります。まるで琵琶法師が語る昔話のよう。でもそこには大切な教訓が秘められている。しかも決して昔話ではない。昔から続いていることは確かだが、それは今も存在しているのだ――
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