『黄昏の盗人』沢田こあき著

 やはりこれから始める。カクヨム甲子園2023 読売新聞社賞受賞のこの作品。


『黄昏の盗人』沢田こあき 著


 現時点で、高校二年生。合唱をやり、絵をやり、小説を書く。彼女との出会いは、わたしの書いた『&So Are You』をこっそり読んでいてくれたこと。


 その日は突然やってきた。最終話にハートがひとつつき、そして評価の星がつけられた。言葉はない。これはだれ? ふいに誘われて、わたしは足跡をたどった。


 そこに、べらぼうな罠が待ち受けているとも知らずに……。


 まずは読んでいただきたい。これは極上の幻想文学。読み終えたその瞬間から、世界が変わる可能性を持つ物語。彼女の世界を体験できる、贅沢な贈り物。


 受け取る。


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『黄昏の盗人』沢田こあき 著 2646文字

https://kakuyomu.jp/works/16817330660806041923

 あなたと過ごす時間が好きだった


 私が初めてヨシダ君の窃盗現場を見たのは、五月のある日、学校からの帰り道でのことだった。


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◆わたしのレビュー

https://kakuyomu.jp/works/16817330660806041923/reviews/16818023211999403808


『極上の幻想文学。そして相対性理論』★★★ Excellent!!! 虹乃ノラン

 2024年1月17日 00:10


「土手下に立つ桜木のそばに『黄昏』は集められていた。

 お気に入りは、豚の貯金箱に貯められた夕方の電車の音。豚のおなかに耳を当てると、町の中央駅から出発した電車が、がたん、となる。」


たまらない情景描写に興奮してレビューを打つ指が震える。


集められていく『黄昏』

そして盗まれてしまう『黄昏』


一日の中からすっぽり抜けてしまった。とある。


最高の恐怖。最高の幻想。


本来『黄昏』は、相対的なものであって、絶対的なものではないとわかる。それはそれぞれの人の心にうつる、心象風景であると思うからだ。


だが、ここでは、沢田こあきによる『黄昏』とは絶対的なもので、等しく皆から失われる存在だ。それだけの数がそれぞれのボトルにおさめられ、等しくそれだけの数が、盗まれてしまったのかもしれないけれども。



私の『黄昏』が盗まれてしまったら。この世は一体どうなってしまうのか。


取り戻された『黄昏』が、たしかにいまここにあるように。


読み終えたその瞬間から、世界が変わる可能性を持つ。


最高の、幻想文学でした。



ありがとうございました。


一生読み続けたい。



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『黄昏の盗人』沢田こあき 著 2646文字

https://kakuyomu.jp/works/16817330660806041923

 あなたと過ごす時間が好きだった

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ぜひあなたもこの世界を体験してください。

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