兵庫きのさき温泉きみ待つ診療所（整形外科医南埜正五郎追悼作品）

思い出を辿るのはときに懐かしい喜びをもたらしてくれるが、つらいどん底の現在（いま）に引き摺り込まれる不幸も味わう。あの時の笑顔を写真に求めるも、確かな手応えがなく、寂しさと虚しさが募る。能登の震災被害者の方々は加えて、生活基盤まで奪われ、茫然自失の日々を送られていることであろう。
　私はと言えば、そんな日々とつらさを暫しでも忘れるためにも、ひたすら作品を書き継いでネットにアップしてきた。そしてそのうちの一つを、映像化できればと思うようになった。拙い作品であっても制作費を負担して作り上げるのであれば、笑われることはあろうが、どこからも文句が出る筋合いがないと思うのである。いずれ処分せねばならない病院用地であるなら、父親の我が儘を通させて貰っても正五郎も納得してくれるのではないか。問題はどの作品…続きを読む