観覧車に行きましたね

最初に観覧車

 最初に観覧車に行くんだね。なんだか意外だな。君は最後に行くような人かと思っていたからさ。いいよ、行こうか。


 ほら、奥に見えているだろう? 小さいけど立派な観覧車だよね。


 そうそう、あの観覧車。ある噂があったんだよ。乗った人数と降りてくる人数が違うっていうよくある噂だよ。


 お、観覧車の扉が開いているみたいだよ。ちょっと乗ってみない? 私も乗るからさ。


 えへへ、なんだか君と二人きりで乗るのはなんだか照れるな。いや、別に変な意味では言っていないよ? しかし、錆び付いていて、軽く揺れるだけで変な音が鳴るね。どう? なにか感じないかな? 観覧車に乗って消えてしまった人たちはどこに行ってしまったのだろうね?


 あれ、君、扉を閉めた?閉めてない?おかしいな。私は閉めてないよ。あ、開かない。扉が開かないよ。どうしよう。このまま開かなかったら君と二人でこんなところで飢え死にしてしまうよ。


 あれれ、動いている、観覧車が動いているよ! どうなっているんだろうね。



 ◇ ◇ ◇



 あなたたちを乗せて観覧車は動き出した。ゆっくりと上昇していく。頂上にからの景色は遊園地を一望できて感動を覚えた。


 そして、違和感に気が付いた。あなたがいた遊園地はぼろぼろだった。今、頂上から見える遊園地は、きらびやかな明かりがともっている。


 錆び付いたアトラクションが一つも見えなかった。あなたたちを乗せたゴンドラはゆっくりと降下していく。一番下まで来ると、扉が開かれた。そして声が聞こえた。


「おかえりなさい、お客様」


 そこには笑顔で迎える女の人がいた。明るい色のジャケットを着た女の人。ポケット部分にネームプレートがついていた。その姿はまるで遊園地のスタッフのような格好だ。


 あなたたちはコンドラから降りた。そこで、驚くべき光景に目を奪われる。


 先ほどまでここにはあなたたち二人だけだった。しかし、目の前には多くの人々が歩いている。アトラクションから笑い声を聞こえてくる。



 ◇ ◇ ◇



 ど、どういうことだろうね? ここには私たちしかいなかったはずだよ。あんなに錆び付いていたアトラクションも綺麗になっているよ。


 ねえ、もしかしたら私たちは、観覧車に乗ったことで過去の遊園地に来てしまったんじゃんないかな? すごい経験だと思わない? タイムスリップだよ!


 よし、過去の遊園地を楽しもうじゃないか。ねえ、どこに行きたい?



 『ジェットコースターに乗ろうよ』

https://kakuyomu.jp/works/16817330663384580032/episodes/16817330663411106032



 『メリーゴーランドに乗ろう』

https://kakuyomu.jp/works/16817330663384580032/episodes/16817330663412997304

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