あとがき

どうも夢神むじん蒼茫そうぼうです。


作品を読んでいただき、ありがとうございました。


本作の主人公である吉岡妙林(もしくは林子)は実在の人物で、修羅の国・九州を代表する烈女です。


豊臣秀吉や加藤清正とやり合った立花誾千代たちばなぎんちよ


大友に追い詰められた息子や家臣団を叱咤し、今山合戦にて龍造寺方に奇跡の逆転をもたらした慶誾尼けいぎんに


家屋敷はおろか、伝来の家宝や“自身の幼子”すら火中に放り込み、島津勢十数名を道連れに果てた志賀氏しがし


戦国期の九州って、烈女沢山います。大好き♪


その中でも、特にお気に入りなのが、やっぱり本作の妙林です。


勝つために、復讐のために、息子の帰る家を守るために、文字通りのあらゆる手段を用いて戦い抜いた烈女の中の烈女です。


彼女が立て籠もった『鶴崎城』の場所は大分市鶴崎として名前だけ残っており、城は一切残っておらず、その位置はおおよそ鶴崎小学校、鶴崎高校の辺りだとされています。


地図を見てみると分かりますが、作中でも述べたように、二つの河川の扇状地の上に立っており、しかも当時は海岸線がかなり近かったため、本当に攻めにくい地形だとわかります。


戦に際して必要な三つの理『天の時・地の利・人の和』


妙林はこれを全部揃えていました。


時は、冬場と言う厳しい環境下において、野外対陣する島津が不利であり、しかも持ちこたえていれば上方から豊臣の援軍が期待できる状況。


地は、義父・吉岡長増が縄張りをして、丹精込めて築き上げた鶴崎城という要害。


人は、島津方には決して心を許さず、徹底的に演技をして、最後の最後でひっくり返した鶴崎の人々の意志。


まさに、勝つべくして勝った忍従の戦でしょう。


あと、薩摩勢を薩摩言葉で書きたかったんですが、さすがに無理でした(汗)


吉岡家はその後、主家・大友家の没落と共に改易されますが、細川家に拾われて仕官を果たし、そのまま熊本藩の藩士として幕末まで残ります。


妙林自身はその後の消息はよく分かっていません。秀吉がその武勇を耳に入れ、ぜひ会いたいと言ってきたそうですが、丁重に断ったそうです。


おし城の甲斐姫といい、秀吉ってこういう女性好きですよね。


また、室町幕府の剣術指南役であった吉岡道場は、ここの吉岡家から数代遡って分家した家ですね。宮本武蔵との決闘やらで知られている京・吉岡道場はここの吉岡家の流れです。


烈女話は大好物なんで、またこうした話を書いていければなと思っています。


その際はまた見に来ていただけると嬉しいです。


貴重なお時間を割いて見てくださってありがとうございました!

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そして、女領主は鶴崎の死神となる 夢神 蒼茫 @neginegigunsou

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