無謀にも先生に恋をしている女子に声を掛けたらなぜかその子の恋を応援することになった

人が見えないモノが見える主人公ですが、それを上手く恋愛ものして表現している作品です。人間の心理描写が的確で、ステキな物語でした。
異能ものとして、バトルやホラーに走らず人間を書いているそう思わせる力があった気がします。


個人的には、見えたことでヒロインのために奮闘する主人公に憧れます。

確かにきっかけは『先生に恋をしている少女』に声をかけた事でした。
でも、本当に大切なことは彼女と関わりを持ち、主人公である結也の心境に変化が訪れる事。
ヒロインである汐里とのふれあいの中で、『人付き合いなんか面倒くさい』と思っていた結也が他人との接点を持ち、そしてお盆に帰郷した際に起きる大きな出来事もあって、人付き合いに、そして恋に前向きになること。
少年の青春に訪れるちっぽけなようで、とても大きな心の変化の、なんと心地よいモノか。

優しく、緩やかに流れていくストーリーと、落ち着いた文体で綴られる地の文はとても読みやすく、一話あたりの文章量も丁度良くて、ポンポンと読み進められるテンポの良さ…続きを読む

恋する人の気持ちと相手との繋がりが糸として見える出雲結也。

実る恋もあれば破れる恋、道ならぬ恋もあることを目で見て学んだ少年は人とのつながりや恋にどこかドライでした。

そんな彼を通じて多くの恋を見守ってみましょう。
たとえそれが、美しい恋ばかりじゃなくても……

出雲結也には他の人には見えないものが見える不思議な力があります。同級生の汐里と出会い、そして彼女の恋に深く関わっていくのですが、結也視点で物語を考えるとその力の重要さであったり、少しの哀しさだったりが分かります。

時間の進み具合などの情景描写や文章の運びにも一切妥協が無く、読みやすいのは勿論のこと、結也の性格にも納得がいくと思える瞬間があり、面白い。

是非、読んで欲しいです！