心と身体は不可分であるが故に。

本作はミステリである。
なのでネタバレに関してはとてもとても留意したい。
よって感覚的な部分について記しておきたいと思う。

まず、悔いの残る事件の発生からこの物語ははじまる。
読んでいるこちらとしても、共感の多いスタートだった。

主人公である志緒はこの事件の真相を追う。結果、新たな友人達と知己を得、またその事件を追う中で、過去、志緒とも深くかかわったとある事件が存在したことが浮き彫りになってくる。


そこで得た経験を持って進むのが、後半の過去解決編である。


これは、冒頭の解決から導き出された「変容」という引金によって幕を開けた、過去の事件の「続編」とでも言おうか。
全ての事象は集約され、斯くもおぞましい真相へと我々を導くのである。

それでも、読後感はさわやかだ。
事件によって歪められた残されし子供達の心は傷付き、その停滞の影響は身体にも及ぶ。再び動き出すためには、自らの脚を動かすしかない。

未来へと踏み出す子供達の背中は穏やかだ。その様子を見送るような心地で読了できる。


さあ、良質な物語を求める方は、どうぞこちらへ。


――ああ、一言だけ加えるとしたら、当初から私は●●●の●●●●と●●●●が大層気持ち悪かったのだ。今思い出した。

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