第51話 勉強会①

昨日から義姉さんが俺の家に泊まり込みで仕事をしていた。教えることに集中するために仕事を終わらせておくらしいが義姉さんが今手をつけているのは本来来週にするはずの仕事、今週の分なら終わっているのである。


「義姉さんが俺に仕事を分けてくれるなんて珍しいこともあるんだなーとか思ってたけど仕事じゃないよねこれ」


俺は義姉さんの椅子になっていた。


「吹雪の仕事は動かないことで、そうすれば私の仕事効率が上がって教える時間が長くなります。吹雪には教える必要ないと思うのでもちろん他の人達にですけどね」


俺だって教えてもらう部分はあると言いたかったが紅葉を主に教えることになってるのでそれから別の人を教えていっても成績が一番いい俺は結局後回しにされてしまうだろう。別に1人で勉強するのもいいのだがたまには友達に教えてもらったりもしてみたい、それはもう叶わない話ではある。


俺が勉強を辞めることは無いし今後のことを考えれば俺が勉強を辞めることは出来ない。


「近くで仕事を見ることはできるし別にいいんだけどさ他の人達が来た時はどうすればいいの?」


「どっちでもいいですよ、誰かが来れば仕事じゃなくて教えることの方が大事なので仕事を中断するので。でも1人だけなら吹雪に任せて私はもうしばらく仕事をしますけど」


何回も思っているが俺にも仕事分けてくれたら義姉さんの負担も減って早く終わると思うのだがいつも何かと理由をつけれられて拒否される。経験のない俺がミスをするかもと言われたらそれでおしまいだが今までそう言われたことは無い。


「俺に仕事が回ってくることは無いの? ミスが心配ならそれでいいけど、義姉さんは今までミスの話はしてこなかったよね」


「私は中学生の時から仕事をしてきましたのでずっと遊べなかったんです。だから吹雪には私みたいに仕事漬けにならずに遊んで欲しいなと。高校一年生なんてまだまだ遊んで、楽しくやる時期です」


「義姉さんも遊びたいんじゃなかったの? だから仕事を早く終わらせたりしてる。でも俺と分ければ2人ともが遊べる時間を作れるでしょ」


俺だってもちろん遊びたい、それ以上に義姉さんは今までの分余計に遊びたいだろう。どちらかが仕事で遊べなくなるのなら両方に仕事をやらせればいい話だ。


しばらくは2人とも遊べないかもしれないが少なくともどちらかが遊んでもう片方が遊べないなんてことはなくなる。


「仕方の無い子ですね、吹雪がそこまで言うのなら2人でしましょうか。吹雪のノートパソコンにデータを送っておきますね」


それでも仕事をするのが初めてなので仕事をする時は義姉さんと一緒にやることを条件にデータを送って貰った。


義姉さんにデータを送って貰ってる間に1番家が近い緋月がやってきた。


「奏音と一緒に来なかったんだ。まぁ家の位置的に一緒に来れるとは思ってないけど」


「ならからかわないで欲しかったな、僕だって一緒に来たかったよ? でも家の位置問題はどうしようもないじゃないか」


「奏音が来たからって2人でイチャつくなよ、周りに人がいるんだからな」


「周りに人がいるんだからイチャつかないよ!」


「いなかったらイチャつくってことか」


さすがにからかいすぎたので冗談はそこまでにしておいて、データを移し終わった義姉さんが緋月と話しながら仕事をしている。ちなみに俺も隣で義姉さんに色々教えて貰いながら仕事をしている。


「緋月くんは奏音ちゃんと付き合ってるんですね。正直私には無縁の話なのでちょっと羨ましいです」


「恋愛なんてしてる暇は無いからねー。まぁまだ高校生だし社会人になってからでも義姉さんならいい人と巡り合えるでしょ」


義姉さんは恋愛しようと思えばできるし仕事熱心で家族に言うのもあれだが美人なのでこのまま一生独身ということは無いだろう。まぁその間に入ってくるのは許嫁とか政略結婚とかなんだけど。


今のところそんな話は出て来ないらしいがそういう話が出てくるのも時間の問題だろう。


「吹雪は蒼井ちゃんと付き合わないのですか? あの場で両思いだと判明したのですから」


「それはそうだけどやっぱり男なら自分から告白したいじゃん? まぁそう言いながらできないヘタレですよ俺は」


12月25日、そのはクリスマスでもあり蒼井の誕生日でもあった。告白するならその日を逃す訳には行かないので紅葉達に頼んで二人きりの時間を作って貰うことにしよう。逆に言えばこのとても都合がいい日を逃せばそこで終わり、こんな都合のいいタイミングなんてもう訪れないだろう。


「あんな助言ができるのにその本人は告白できないとどうなんだろうね。まぁ僕は応援するから」


そんな話をしている時に家のチャイムがなったのでその話は終わりとなった。告白しようとしている本人がいる前でこんな話ができるわけが無い。


蒼井と一緒に何故か風真さんが着いてきたが教える人が増えたとでも思っておこう。


どうでもいいことだけどそういえば風真さんと奏音って喋り方が似てるよね。

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クラスに俺の彼女を名乗る美少女が転校してきた 桜木紡 @pokk7

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