終章
ぼくはオレンジ色のトラ猫になって、ケンちゃんちで暮らしている。
ケンちゃんが学校に行っている間は、やはり猫にされたケンちゃんのお兄さんと一緒にケンちゃんのベッドでひとかたまりになって寝ている。
ケンちゃんは帰宅すると、お兄さんを足で押しやりながら「ここで寝るな、バカヤロウ」と暴言をぶつけたりする。でもそれ以上のことはしない。ケンちゃんは猫が好きだから、できないのだ。
学校でいやなことがあったりすると、ぼくをぎゅっと抱きしめて泣いたりもする。
ぼくはケンちゃんのことがものすごく欲しかったけれど、ぼく自身がケンちゃんのものになるのも悪くないと思った。
そして、最近体がひどくむずむずする。
ぼくもトラ丸のように突然溶けてしまう前兆なのかもしれない。
そうなったらケンちゃんは、ぼくがトラ丸を失った時のように悲しむのだろうか。
―完―
ペットボトルの中の猫 うろこ道 @urokomichi
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。