Joke?

本編の応援コメントで、自分も身長は高くないがこのような差別を受けたことはないという旨のものがあった。

差別問題を提起すると、こうした反差別を無効化する物言いが決まって出てくる。
大抵は当事者を名乗りつつ。
仮にその自称が嘘偽りのないもので、本当に差別に遭ったことがないのだとしても、それはたまたま己個人の運が良かっただけだ。
そんな単純な事実になぜ思いが至らないのか。

あるいは、差別を差別と認めたくないだけかもしれない。
ただでさえ社会から不当なコンプレックスを植え付けられているのに、さらに自身が被害者であるなど、人によっては認めるだけでも辛いところだろう。
やはりその者もまた被害者なのだ…続きを読む

このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む（187文字）

ルッキズムに限らず、社会という常に動き続ける思想体について考えることをやめないようにしなければ、と思わせてくれるような作品でした。
私も多くの人間がこの主人公と同じような結末にいずれなるのでは、と懸念しております。

物語としても流れがわかりやすく、心情も端的にまとめられていて、お手本のような作品でした。ふとした時に読み返したくなる作品です。

　悪気はなかった。本気じゃなかった。
　そんなつもりはなかった。

　まさか、そんな深刻に受け取るだなんて……


　主人公は「背が低い」男性。
「たったそれだけ？」と思うかもしれない。

　この作品における「まわり」も皆そう思っていた。
　だから深く考えることもなく、彼をからかい、「向いていない」という理由で冷遇し、目を背けた。

　そのひとつひとつが、積み重なれば人を殺せる毒であったとも知らずに。


　マイノリティの活動はネット・コミュニティの影響もあって大きくなりつつある。けれども、それが適切に伝わっているかは疑問であるし、
　何よりも「意識すらされない」マイノリティがいることも事…続きを読む