[原作演劇]蝋でできた翼

胸に一物抱えた16歳の少年・鑑悠一は、ある日の夕方にクラスメイトの少女が学校の屋上から飛び降りようとしているのを見つける。クラスではまるで他人として振る舞う二人であったが、咄嗟に彼女を引き止める言葉は「おれは、夏目夏那のことが好きだ！」だった。悠一は彼女がふたたび自殺を図ろうとしないようになんとか繋ぎとめようと偽りの一途な想いを伝え続けるも、本気になっている自分がいた。それには昔、彼が彼女にした罪悪感が関係していた。
正しさをどこまでも純粋に稠密にとりこんだ十代の青々しさで、この世界という牢獄に立ち向かい続ける少年の淡いひと夏の物語。
演劇原作の作品です。