電波ヒロインにはチャラ系秀才を④

「どうしようか……」


次の日の夜、俺は自室で一人、本を開きながら黄昏ていた。

それは、この本の解読もあるのだが、主な原因はもう一つ。


《もう関わらないでよ!》


そう、ミアの事だ。

昨日、少し言い合ったミアとは顔を合わせにくく、なんとなく、会いに行きづらかったのだ。


……どうしたものかな……。


俺は、本の解読を少しずつ進めながら思案する。

本の解読を少しずつ進めていくうちにわかってきたこともある。

……予想通り、これが、200年前の勇者が残した書物であること。

そして、何故か、この国を恨んでいること。

現状読み込めたのが残念ながらここまでだが、この本は、もしかすれば、ミアの役に立つのではないか、と思っている。

まぁ、ただの勘だが。


俺は、少し休憩を挟もうと、両手を空に掲げ、背伸びをする。

これを、ミアに見せようか、俺は迷っている。

日本語が上手いミアが読んだ方が、すぐにこの本の内容が明らかになるだろう。

でも、その内容は、ひどいものだ。

分かる部分だけ読んでもその内容はほとんどが怨嗟。


正直に言えば、ミアには見せない方がいいと思っている。

あいつは、今、自分の事で手いっぱいだ。

わざわざ負担を増やすような事をしなくともいいと思う。


まぁ、それはそれとして。


まずは目をそらしている目の前の問題から解決した方がいいんじゃないかと問いかける自分がいる。

ミアと、ルーファスの問題だ。


俺は、ノートを取り出す。


ノートによると、ルーファスの攻略完了は、来月。

丁度、二回目の考査の結果発表の後となっている。


……というか、ローレルがあっという間なだけで、意外に時間はかかるな。


その間、ミアが襲われない、という保証はない。

でも、俺がミアを助ける義理なんて無いはずだ。

このまま、無視しとけばいいんじゃないか?


「……あぁー!」


俺は唸る。

ミアをほっとけない!

でも、結局のところ、そこまでして助ける理由はあるのか?

俺は頭を抱える。


「あぁ、もう!寝る!」


俺は、何もかも放り出して、寝ることにした。

いろんな事を明日の自分に丸投げして。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

作者も明日の自分に丸投げします。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る