電波ヒロインには生徒副会長を②
本日は短めです。
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なるほど。
だから『物語』でローレルは貴族を否定するのか。
俺は様子を見ながら腑に落ちる。
この様子だと婚約者とは反りが合うまい。
ミアは、ようやく頭の中で整理できたのか、口を開く。
「……ローレル様はそう思うんですか?」
「あぁ。貴族なんてクズばっかりだ。……俺の親を含めて」
ローレルは腕を組み、いかにも考えたくない!と言った感じでそっぽを向く。
「でも、ターナー様や、ファム様は、凄い人たちですよ?」
「……」
ローレルはだんまりしている。
「それに、あなたが嫌だと言っている貴族の振る舞いをあなた自身がしているんですよ?」
「……」
「自分のすべきことをせず、貴族という地位についているというだけ。同じ穴のムジナを笑えますか?」
「……」
……言うなぁ。
生徒会で仕事をしていたの、ファムぐらいだったもんな。
ミアは役職としては一番下っ端だから基本的に大きい仕事は任されない。
だから、何かしら、思うところはあったんだろうな。
「生徒会だって、ファム様だけが仕事をしています。他の方々は、生徒会室にすら来ません」
「……」
ずっとローレルは無言だ。
何か、思うところがあるのだろうか。
「この本は、ただ、貴族がダメだという批判をしている本ではありません!しっかりと読み込んでから物を申してください!」
「……すまない」
そう言って、ふらふらと立ち去るローレル。
……おぅ、チョロイン、フルボッコだな……。
ミアはあれでいいのだろうか。
ついつい言葉が先走ったみたいだが……。
あ、ローレルが見えなくなった途端に膝着いた。
天を仰いでる。
……あれは、やってしまったという感じだな……。
とりあえず、ばれないように戻るか……。
翌日。
ミアが落ち込んだ様子で裏庭に来た。
会おうと約束していた。
〈ごめん、もう逆ハーエンド無理かもしれない……〉
〈ど、どうしたんだ?〉
俺は何も知らないよ、と言った感じでミアに聞く。
〈選択肢を間違えちゃったの……〉
〈おぉ、そうか……〉
知ってる、とは口が裂けても言えない。
〈しかも、シナリオにないやつ……〉
〈それは大丈夫なのか……?〉
俺は実際気になっていることを聞く。
〈分からない……どうなっちゃうんだろう……〉
ため息を吐いて落ち込むミア。
しかし、物語的観点を除けば、良い方向に進んだと言えるのが今のミアの行動だ。
なんと、朝一からローレルが生徒会室に来て、仕事をちまちまとやり始めたそうだ。
ファムも、朝一から仕事を減らしに来たらしいが、それよりも早く来てつたなくも仕事をこなしていたそうだ。
それを思うと、ミアの行動は良かったと言えなくも無いのだが……。
机に伏せているミアを見て、なんか、可哀そうになる。
仕方ない。
どうにかするか……?
このままだと今度はミアがおかしくなりそうだ。
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