てがあるよ

無邪気な童が開く開いてはならない彼岸の扉…そこから引き摺り込まれる連鎖の物語

　一言でいうと、ものすごい恐怖を味わえる作品です。
　別の方の書かれたレビューにある通り、しっかり「正統派ホラー」
　完璧な恐怖がそこにはあります。
　事故物件っていうのはどこでも怖いもんですが、自分には見えないけど他人が見えるってのもまた怖い。
　そして、恐怖の描き方がそらまた見事で、見習うべきところが本当にたくさんありました。
　冬！　だけど、鍋を食べたいとかちょっと体を冷やしたいときに読んでみてください。
　ものすごい悪寒があなたを包むことでしょう……。

タイトルに書いた通り正統派ホラーです。
短編なのでレビューするとネタバレしそうなので難しいのですが――。

大学生の姉と歳の離れた小学生のやんちゃな弟がメインの登場人物。
弟の無邪気さや、姉弟の心温まるやり取りが、より一層怖いシーンとのギャップを引き立ててくれます。

ホラーの面白いさは、単に怖いだけでなく、
・なぜ死者が怪異となったか、
・どうやってその怪異からのがれるか、という二点も大切。
この点がミステリー的な面白さをかもしだしている。
そしてこの短編はこの2点も大満足ですよ。

さらにホラーといえば読後の余韻。これもいい感じなんだな～
ぜひ読んでゾクゾクッとしてくださいね！

「てがあるよ」というひらがなのみのタイトルの時点でまず怖い！
子供の無邪気さやイベントの楽しさと、恐怖が襲いかかってくる落差にやられました。
最後の締めもブルリときます。
ぜひ、「て」のある恐怖をお楽しみください。

このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む（159文字）