どうしようもない感情を抱えている。そんな人にこの物語が届きますように

こんな気持ち、抱えちゃいけないのに。
こんな気持ち、抱えたまま生きていくのは辛い。

田所という少女の場合、それは「死にたい」という気持ちでした。

というと、負の感情に溢れていて、読むのが辛い小説なんじゃないか?と身構えてしまうかもしれませんが、そんなことはありません。
むしろ優しさに溢れていて、あなた自身の抱えているどうしようもない感情にも温かく寄り添ってくれる、そんな小説です。恋愛というジャンル、タグにある青春、そして人間ドラマもしっかりと味わうことができます。希死念慮という言葉は重いですが、そればかりに囚われ、感情的に、悲観的になった暗い物語ではありません。
作者様が登場人物ひとりひとりをしっかり受け止めたのであろう、とても丁寧な心理描写は見事です。時にはそれが読者のもつ傷に触れ、「痛っ」となることもあるかもしれませんが、決して読者を傷つけるような小説ではありません。
だからどうか、安心して表紙をめくってみてほしいな、と思います。

この物語を必要としている人に、この物語が届きますように。そんなふうに思います。