ギターの糸
ある麗らかな春の日の事でございます。高校に入学したての
池の中に咲いている蓮の花は、みんな玉のように真っ白で、その真ん中にある金色の
彩人は誰もいないのを確かめてから蓮池の縁に佇み、尊敬するThe Whoのギタリスト、ピート・タウンゼントの曲を口ずさみながらエアギターを始めました。子供の頃から父親の洋楽コレクションを聞き漁っていた彼はすっかり暗譜していたのでございます。
「Won't Get Fooled Again 俺達は二度と馬鹿にされない♪」
演奏は白熱し彼はどんどん曲の世界に入り込んでいきます。最高潮に盛り上がった所で、ギターの弦が切れる感触までいたしました。
ふと我に返ると、綾人は上級生らしき3人の男達に囲まれておりました。赤髪で柄の悪そうな大男が前に進み出て、怯える綾人に向かってこう言ったのです。
「見つけたぜ、ギタリスト。俺達のバンドに入れ」
遠くでチャイムが鳴っているのが聞こえてきます。学校の
◇◇◇◇◇
【後】
芥川龍之介「蜘蛛の糸」オマージュ。
Won't Get Fooled Again(無法の世界)The Who
男子高校生の軽音青春物語幕開け、的な。
バンド名は「ドット
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