第36話哲学者の千葉大維さん

2024年4月に、以前精神障害者当事者会「ポルケ」で知り合った千葉大維さんと新宿で会った。紀伊国屋書店前で待ち合わせをして歌舞伎町のガストに2人で入った。


「お久しぶりですね、千葉さん。今日はありがとうございます」

千葉大維さんは早稲田の東洋哲学科卒で音楽、美術にも造詣が深い。1度じっくりお話してみたいと思っていた。


「伊東乾は現代音楽のルーツはほとんどがベートーベンだという言い方をしていました」

千葉さんは慎重に言葉を選ぶ。

「少し違うかもしれません。現代音楽のルーツとなってるのは、19世紀から20世紀の、シェーンベルク、ベルク、ウェーベルンの「無調主義」「十二音音楽」などです。それ以前は、マーラー、ワーグナーなどがいました」

豪志は千葉大維さんの話をメモする。


「伊東乾の本質は「碩学」、つまり「総合知」です。彼はあらゆる学問を修めた上でさらに世界的音楽家でもある」

「中沢新一や立花隆はご存知ですか。「総合知」に関しては生前の立花隆が言及していました」

「わたし、ゲンロンカフェに参加して、中沢新一と東浩紀の対談を見に行ったことがあります」


「東浩紀さんは「総合知」ではないですよね。哲学に関しては日本の第一人者ですが。哲学を離れると途端に浅くなってしまう」

千葉さんも頷く。

「あの人(東浩紀さん)は違う。あくまで哲学者です」


「千葉雅也さんの「現代思想入門」も持ってきました。わたし、彼は好きなんですよ。「勉強の哲学」や「デッドライン」、「オーバーヒート」、「エレクトリック」も読みました」

「「勉強の哲学」はわたしも読みました」

「彼は難しいことを分かりやすく伝える天才ですよね」


「少し話題を変えて。当事者会「ポルケ」のリーダー山田さんについてどう思われますか?」

「悪い人ではないと思います。ただ、大将肌と言いますか、やや独善的な部分がある。山田さんは法政大学の哲学科卒ですよね?」

「彼は法政大学の経営学部です」

「「ポルケ」も最近は少し閉鎖的になっているらしいです。なにか、当事者会で場の空気を乱す新人さんがいたらしくて、山田さんが神経を尖らせています」


「東洋哲学というのは当然、深く狭くなってゆきますから。早稲田の東洋哲学科でわたしが立花隆やら中沢新一の話をすると周囲は、「また千葉君は広く浅い話をしているよ(笑)」と笑っていたものです」


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

バッドハビッツ ponzi @ponzi

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ