第📶話 あなたは今日も、ごはんを食べる

 本作の最終回を読み終え、カクヨムのアプリを閉じると、あなたは、スマートフォンから顔を上げた。

 あなたの目の前にはリアルの世界が広がっている。

 ポケットにスマホをしまうと、あなたは街を歩き始めた。


 ふと、空腹を感じたあなたは、どこかで何かを食べようと考える。

 どこがいいだろうか?


 吉野家。大盛りねぎだくギョク、これだね。

 あるいはマック。女子高生が面白い話をしているかもしれないし。

(いや、ファミチキで済ますのもいいか。)

 本当に軽く、きのこの山かたけのこの里で小腹を満たすのもいいかもしれない。


 それか、ポケモンパンとヤクルトにしようか。いやいやこれじゃまるでファルコン・ランチだ。

 台風が近づいているらしいし、コロッケでもいいかもな。

 お、きしめんの店がある。素直な気持ちDEきしめえええんを食べるのもアリか。

 二郎からのセイクで優勝していくのもありよりのありだな。


 あなたは無数の選択肢のなかからどれかひとつを選び、食べる。あなたの脳内でリアルの世界は大なり小なりインターネットにコーティングされている。あなたはどんな食べものもインターネットごはんになりうるということに、改めて気づく。


 ふと、あなたは珍しい銀髪の幼い女の子とすれちがう。

 ふと、あなたは大人しそうな黒髪の少女とすれちがう。

 猫背の、まだ若い成人男性ともすれちがう。


 あなたはハッとしてその三人を振り返り、すこししてから力なく笑って、また歩き始めるのだった。

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