第1話〜4話

第1話 A Change Is Gonna Come

https://kakuyomu.jp/works/1177354054881416606/episodes/1177354054881416619


 アメリカのソウル・シンガーとして知られるサム・クック(Sam Cooke)が1964年に発表した同名の楽曲があるのですが、わたしが当時イメージしていたのは、やはり彼同様ソウル・シンガーとしてその名を馳せたクイーン・オブ・ソウル、アレサ・フランクリン(Aretha Franklin)が1967にカバーしたバージョンでした。


 楽曲タイトルの意味としては『きっといつか変化は訪れる』くらいの感じになるかと思います。

 タイトルも暗示していますが、この楽曲は自身が受けた人種差別がきっかけとなって変化を願って書かれた曲だと言われています。


 ちなみにサム・クック盤でドラムを叩いているのはアール・パーマー。音楽用語としてファンキーという言葉を持ち込んだのは彼だと言われています。これマメな。


 さて、小説の方でこの第1話は、主人公の性別がなぜか変わってしまうという内容です。

 『ちらしの裏見せます』という拙エッセイでも以前書いたことがあるのですが、このお話を書き始めるきっかけとなった最初の最初の小さな種粒は、男女間の性差ということだったんです。

参考URL:https://kakuyomu.jp/works/1177354054892393798/episodes/1177354054892648569


 わたしは性差別に対して特に意識の高い人じゃないんですが、男女の違いから来る相互理解の難しさというのは感じることが多いです。また、近年はLGBTQについて話題に登る機会も比較的多いようです。

 それでTSというジャンルの話の中で、当事者となる主人公が性別が変化してしまう事象に向き合いながら葛藤したり受け入れられなかったり受け入れたり、そんな話にしようと思ったわけですね。


 そんな話の始まりとして、主人公の体の変化に伴う内面の変化や周囲との関係性の変化、いろんな変化が予想される展開なので、このタイトルが暗示的でふさわしいのかなと考えました。


Aretha Franklin - A Change Is Gonna Come (1967)

Written by Sam Cooke

参考URL:https://www.youtube.com/watch?v=k6YCxXQ6Scw


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第2話 Controversy

https://kakuyomu.jp/works/1177354054881416606/episodes/1177354054881416826


『論争』を意味するPrinceの楽曲からいただいてます。

 この楽曲でPrinceは世の中の人々が様々な意見の間で論争していることについて信じられないと主張しています。

 歌詞の中で聖書のマタイ6章から主の祈りと呼ばれている部分を引用していますから、何らかの信仰的背景に基づいているのかもしれません。彼自身見た目のイメージと違って、敬虔なクリスチャンだったようですしね。


 ちなみにこの楽曲で使用されているドラムサウンドは時代を感じさせるスクエアな打ち込みビート。LINN DRUMというデジタルドラムマシーンが使われているそうです。LM-1とLM-2というバージョンがありましたが、どっちかまではわたしも知らないです。マニアな人なら音色で判断できるのかも。


 さてさて、第2話の内容的には論争というには大げさで、主人公と従姉妹である秋菜との間でのちょっとした小競り合いに過ぎません。

 女子化してしまったことをいきなりは受け入れきれず、服装やメイクなどに抵抗する主人公と、見た目が自分とそっくりなので女子としてちゃんとしてくれないと自分の恥になると主張する従姉妹。

 その二人のやり取りに焦点をおいてこのタイトルを選びました。


Prince - Controversy (1981)

Written by Prince

参考URL:https://www.youtube.com/watch?v=3fZy5hX6uLg


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第3話 女の子は誰でも

https://kakuyomu.jp/works/1177354054881416606/episodes/1177354054881416843


 椎名林檎をボーカルに据え、腕利きミュージシャンで固めた東京事変の楽曲から。

 とても軽快で洒落たスイング・ジャズアレンジで奏でられる心地よいこの曲は、女の子への応援ソングとなってます。


 実はわたくし、J-Popにありがちな押し付けがましい応援ソングが苦手なんです(あくまで個人の意見です)が、この曲に関して言えばちっともそんな押し付けがましさを感じることなく聞けます。むしろ聴いていてウキウキするくらいです。


 お話の方では、主人公が初めて女性用の下着を身に着けたり、家族の今後の動向についての話し合いが一段落したりで、いよいよ女子としての一歩を進めることになる場面を描いています。

 そんな彼(女)に対する応援という気持ちで選ばせていただきました。


 小説を書くにあたって、特にTS小説って一般に男子の性的欲求の都合に合わせて書かれることが多いみたいなのですが、わたしはその辺の事情を十分に理解せずに、このジャンルのお話を読むたびに、男子から女子に変わったら経験するであろうあれこれが描写されないことを不思議に思うと同時に、なんてもったいないと感じていたんですよ。


 後々知った事情によれば、上述の通り大人のビデオを見るのと同様即物的に描いて余計なプロセスを省くのがある種のマナーみたいなところがあったようですね。処女作だと言うのに実にごうが深いジャンルに足を踏み入れてしまったものです汗。


東京事変 - 女の子は誰でも (2011)

Written by Ringo Shiina

参考URL:https://www.youtube.com/watch?v=8tTkCZzRx5Q


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第4話 High-School Girl (We Loved)

https://kakuyomu.jp/works/1177354054881416606/episodes/1177354054881416912


 tofubeatsの別名義であるdj newtownとして発表されている楽曲です。

 リミックスがいくつかあるようですが、YouTubeにはオリジナルがないっぽいので、今回はSound Cloudのリンクを貼っときまますね。


 このお話は女子高生というサブタイトルにしたいなと思って何かないかなーとググっていたのですが、実はわたしの守備範囲の楽曲としてはこれくらいしか見つけられなかったんですよね。

 そのため楽曲とお話の結びつきは希薄かもしれません。楽曲タイトルから『女子高生(オレたち大好きだよね)』みたいなニュアンスを勝手に読み取って、困ったおじさんたちだわとこれまた勝手に妄想しておりました。

 サブタイトルに拝借しておいてなんて失礼な人でしょうかね。


 オリジナル・ミックスでも、のっけから女子高生にこんな風に罵られたい的なボイス素材で始まっているところがなんともごうの深さを感じさせます。


dj newtown - high school girl (we loved) (2009)

Written by dj newtown

参考URL:https://soundcloud.com/djnewtown/high-school-girl-we-loved

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